朝ドラ『ブギウギ』“第2章”は個性豊かな人物たちと開幕 スズ子&羽鳥の出会いも目前に

「今よりももっと歌って踊ることが楽しゅうなりたい」

 そんな思いから梅丸少女歌劇団(USK)を退団し、大好きな家族とも別れて東京に行くことを決めたスズ子(趣里)。NHK連続テレビ小説『ブギウギ』第6週初日の放送では、スズ子の人生の第2章とも言える「東京編」の開幕を、草彅剛、ふせえり、隈本晃俊、坂田聡ら演じる個性豊かな登場人物が彩った。

 上京当日、スズ子は生まれ育った実家であり、歌う楽しさを教えてくれた原点「はな湯」をピカピカに掃除して地元を出た。永遠のお別れではない。いつでも自分を「おかえり」と迎えてくれる家族や常連客に「行ってきます!」と手を振って。

 そんな冒頭の寂しさを嵐のような勢いですぐに拭い去ってくれたのが、スズ子と秋山(伊原六花)の下宿屋の女将・チズ(ふせえり)だ。これは筆者が上京した際の個人的な体感だが、関西に比べて大人しいイメージのある東京の人は意外とよく喋る。チズもそのタイプで、おしゃべりなスズ子ですら口を挟むことができないほどの饒舌な話しっぷり。スズ子たちが思わず叫んでしまった強面の夫・吾郎(隈本晃俊)を尻に敷く、そのカラッとした快活な性格も気持ちがいい。

 かたや、東京観光帰りにふらっと立ち寄ったおでん屋の主人・伝蔵(坂田聡)からは「東京は怖ぇところなんだよ」と脅されるスズ子と秋山。大阪弁が嫌いという伝蔵は感じ悪いといえば悪いが、おでんの味を褒められ、つい笑みが溢れる姿を見るに悪い人ではなさそうだ。こうして、スズ子の初めての東京生活はまずまずのスタートとなった。

 何よりも心強いのは、秋山というバディのような存在。同期ではないが、長年USKで苦楽を共にしてきた秋山はスズ子が不安になった時のお守りになってくれる。一方で、新しい景色や人に刺激を受け、思ったことや感じたことを素直に表現するスズ子に秋山が助けられている部分もあるのではないだろうか。自分の中に溜め込んだ感情を誰かが代わりに発散してくれたらスッキリすることもある。そんな2人が東京初日の夜になかなか眠れず、「せっせっせ」で始まる手遊びで気を紛らわす姿が微笑ましい。チズからは「立派な大人」と言われたが、また一から新たな場所でスタートを切ったという意味ではまだまだ子供なのだ。

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