『下剋上球児』教職を追われた南雲はどうなる? 日本シリーズの裏で“極上のドラマ”が

 初戦には独特の緊張感がある。2016年7月、越山高校が出場する県大会1回戦。『下剋上球児』(TBS系)第4話で、“ザン高”こと越山高校野球部は、夢の甲子園出場と悲願の初戦突破を目指して、県立多気高校との試合に臨んだ。

 勝って勢いに乗るか。それとも実力を発揮できずに終わるか。対戦相手の多気高校は守備に定評があった。1回表。事前に相手チームの弱点を研究した越山ナインは、1番久我原(橘優輝)のバントで出塁。すかさず俊足を生かして二塁を陥れると、バントの構えから振り抜いた2番富嶋(福松凛)のショートゴロの間に一気に本塁へ生還した。足を使った攻撃で越山が先制する。

 好投を続ける1年生エースの犬塚翔(中沢元紀)から得点を奪えない多気高校。監督の葛西(浅野和之)は策を講じる。バントすると見せかけてピッチャーの体力を消耗させる「スーパーバント大作戦」を発動した。副部長としてベンチに入った南雲(鈴木亮平)は伝令を出し、守備位置を変更。内野に人を割くバントシフトが功を奏し、多気高校の攻撃を封じた。しかし、疲れの色が見えてきた犬塚はコントロールが乱れ、8回裏に逆転ツーランホームランを浴びてしまった。

 ここで越山は犬塚を下げ、サイドスローの右腕・根室(兵頭功海)を投入する継投策を採る。コーナーを突く投球で根室は後続を三振に切って取り、1点差のまま試合は9回表の越山の攻撃に移った。「夏に一勝」を実現しようと、先頭打者の根室がヒットで出塁、久我原のバントは失敗するが、富嶋のバントで得点圏にランナーを進める。バッターは犬塚。真芯でとらえた打球はレフト方向へ高々と打ちあがり、誰もがその行方を見守る中、フェンスに激突しながら追いついた外野手のグラブに収まった。

 熱戦の末に越山ナインの夢は散ったが、部員たちの表情は晴れやかで、全力を出し切ったすがすがしさと手ごたえを感じていた。チームが確実に成長していることを確かめて、日沖(菅生新樹)たち3年生は引退する。傷害事件の責任を取る形で、日沖はこの日スターティングメンバーに名を連ねず、3塁コーチとしてグラウンドに立った。弟の壮磨(小林虎之介)は悔しさを嚙みしめながら、その姿をスタンドで見守っていた。兄から託されたバトンを受け取り、1年後の雪辱を誓って新チームに合流した。

関連記事