フー・ゴーはすべて兼ね備えたスターだ! 『仙剣奇侠伝』から現在までの軌跡と円熟

 演技力で高く評価されているスター、ルックスが抜群のスター、一挙手一投足が注目される人気者――中国は人口のパイが大きいだけあって、それぞれ強みを持つ魅力的な俳優は大勢いるが、これらをすべて兼ね備えた稀有なスターの1人がフー・ゴー(胡歌)かもしれない。

 動画配信サイト「みるアジア」では、これまで日本では紹介されていなかったドラマの独占配信も含め、そんなフー・ゴーの代表作をまとめて観ることができる。

『射鵰英雄伝<新版>』©️Chinese Entertainment Shanghai Limited 2008. ALL RIGHTS RESERVED.

 1982年、上海生まれのフー・ゴー。そのキャリアは長く、幼稚園児の頃から子役として活躍している。2005年に演劇の専門大学・上海戯劇学院の演技科を卒業し、『仙剣奇侠伝(原題)』(「みるアジア」で独占配信予定)に主演。中国の大人気ゲームが原作の武侠ドラマで、漁村で暮らしながらも、英雄になりたいと志を立てる正直者で呑気な青年・李逍遙の愛と成長を描いた本作は大ヒット。フー・ゴーもその美しい容貌からアイドル的な人気を博す。その後、2009年に放送されたシリーズ3作目『仙剣奇侠伝之三』にも主演している。

 順風満帆に見えた2006年、フー・ゴーを語る上で避けては通れない不幸が襲う。『射鵰英雄伝<新版>』(「みるアジア」で独占配信予定)の撮影中に交通事故に遭ったのだ。フー・ゴーは九死に一生を得たが、同乗していた女性アシスタントは死亡。そして、俳優にとっては致命的とも言える顔への大けがを負う。けがの程度は顔と首を100針以上も縫う重傷。皮膚移植などの整形手術に幾度も耐え、翌2007年には仕事に復帰するが、メイクでは隠しきれない傷が残った。それ以上に、心に負った傷も深刻だったはずだが、フー・ゴーの復活を信じて中断していた『射鵰英雄伝<新版>』の撮影を再開。本作は2008年に放送されて大ヒットした。

『射鵰英雄伝<新版>』©️Chinese Entertainment Shanghai Limited 2008. ALL RIGHTS RESERVED.

 その後、数多くのドラマに出演。その中の1作、『風中の縁』(「みるアジア」で配信中)は、アジア全域を席巻した大人気宮廷ドラマ『宮廷女官〜若曦(ジャクギ)』などを生み出したベストセラー作家トン・ホアの原作をもとにした作品。フー・ゴーは狼に育てられたヒロインをめぐる三角関係の一角を担っている。

 俳優として再び転機を迎えたのは2015年だろう。2本のドラマの大ヒットで、フー・ゴーは再び大ブレイクを果たす。

 1つは、『琅琊榜〜麒麟の才子、風雲起こす〜』。架空の国・梁を舞台に、謀反の罪を着せられて滅んだ軍の将軍の息子が、顔を変えて生きながらえ、自分たちを陥れた者への復讐を誓う。フー・ゴーが演じたのは、緻密な頭脳戦で復讐を果たそうとする侠客組織の盟主・梅長蘇。皇帝の後継者争いを利用して権力の中枢に入り込み、周到に罠を張って標的を追い込んでいく展開はぞくぞくする面白さ。死の淵からよみがえった病弱なこの主人公は、フー・ゴー自身の人生にもどこかシンクロし、キャリア最大の当たり役となった。

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