『ウマ娘』Season3、キタサンブラックの勝利をなぜ“止め絵”に? 今後の物語を予想

 そんなコンビの初勝利となったのが、第4話のエンディングで描かれた天皇賞・春だ。このレースではスタートからキタサンブラックが見事な逃げを決めてレースを完全に支配。3200メートルを終始トップで逃げ切って、最後に追い込んできたカレンミロティックを4センチ差で振り切るという圧勝劇を見せたのだ。

 それだけにアニメで再現すると、最後のゴール前以外に見せ場が作りにくい。そしてキタサンブラックの特訓の末の覚醒という話の流れからすると、彼女に圧倒されるライバルたちの様子を描くのはテーマがぼやけてしまう。それゆえに、専用エンディングテーマとともに止め絵のみでレースを描くという英断に繋がったのだろう。実際のレースはYouTubeで検索すると公式レース映像が配信されているので、興味のある人はウマ娘のキタサンブラックの姿を重ねながらぜひ観てほしい。

4センチ差の大接戦「内差し返した!キタサンブラック」【天皇賞(春)2016】

 Season1ではスペシャルウィークの成長、Season2ではトウカイテイオーの挫折と再起というストーリーが描かれてきたTVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー』。だが、Season3ではここからまったく違ったアプローチの物語が描かれる予感がする。

 競走馬のキタサンブラックは、2016~17年に12戦のG1レースを走って7勝を記録。勝利を逃しても惨敗したのは1回のみで、すべて3着以内に入るという圧倒的な戦績を飾って現役生活を終えている。つまりウマ娘のキタサンブラックも、第5話からは力強い勝利を重ねて世代の絶対王者となっていく姿が描かれるのではないだろうか。

 それを踏まえてOPを見返してほしい。「勝ちたい……」というフレーズが何度も重なり「君に勝ちたい」という言葉に収束していく主題歌「ソシテミンナノ」と、必死の表情で走るサトノダイヤモンド、サトノクラウン、シュヴァルグラン、サウンドオブアースらの姿。あのオープニングはキタサンブラックという「強者」に挑むライバルたちの姿が主題となっているのだ。

 日本一のウマ娘を目指したスペシャルウィーク、シンボリルドルフのような無敗の三冠ウマ娘を目指したトウカイテイオーと、アニメ『ウマ娘』の主人公は常に挑戦する者たちだった。そうなるとSeason3はキタサンブラックが主人公の物語は第4話で終わり、彼女に挑む同世代のライバルたちの物語がメインとなる群像劇的なストーリーが第5話から描かれるのかもしれない。それぞれにキタサンブラックに「勝ちたい」という想いを秘めたウマ娘たちがどんな挑戦の物語を走りを通して紡ぎ出すのかに注目だ。

参考

※『名馬を読む3』(江面弘也/三賢社刊)

■放送・配信情報
『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』
TOKYO MX :毎週水曜24:00~放送
BS11:毎週水曜24:00~放送
カンテレ:毎週土曜25:45~放送
サガテレビ:毎週月曜24:55~放送
AT-X :毎週日曜21:30~放送 ※リピート放送:毎週水曜29:00~、毎週日曜6:30~
アニマックス:毎週土曜21:00~放送
各種配信サイトにて、毎週水曜24:30~順次配信
キャスト:矢野妃菜喜、立花日菜、鈴代紗弓、夏吉ゆうこ、MAKIKO、秋奈、Machico、大西沙織、上田瞳、和氣あず未、高野麻里佳、大橋彩香、木村千咲、前田佳織里、花井美春、田澤茉純、遠野ひかる、沖野晃司
原作:Cygames
監督:及川啓
シリーズ構成:永井真吾
シナリオディレクター・シリーズ構成:小針哲也
キャラクターデザイン・総作画監督:椛島洋介
キャラクターデザイン:辻智子
総作画監督:仁井学、福田佳太、藤本さとる
キャラクターデザイン監修:清永みなみ
メインアニメーター:小畑賢、式地幸喜、中島順
美術監督:作山拓見
色彩設計:中野尚美
撮影監督:並木智
CGディレクター:青木ともたか
編集:髙橋歩
音響監督:森田祐一
音楽プロデュース:岩代太郎
音楽:UTAMARO movement
コンテンツディレクター:秋津琢磨
アニメーションプロデューサー:増尾将史、西村謙人
アニメーション制作:スタジオKAI
©2023 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 3」製作委員会
公式サイト:https://anime-umamusume.jp/
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/uma_musu_anime

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