朝ドラ『ブギウギ』愛情を“応援”で示したツヤと梅吉 家出した大和が親に思うこと

 「自分を大切にできない人間は、会社やお客様を大切にはできない」と、会社からの不当な扱いにNOを突きつけた大和(蒼井優)。その毅然とした姿に心を動かされたスズ子(趣里)は、ストライキへの参加を決意する。

 NHK連続テレビ小説『ブギウギ』第4週初日の放送となる第16話。先に音を上げるのは会社か、それともレビューガールたちか。それぞれの威信をかけた持久戦の火蓋が切って落とされた。

 会社に解雇と賃金削減を撤回させるため、山寺にこもり始めたスズ子たち。舞台を放棄するとお客さんに迷惑がかかるので、苦肉の策ではあったが、社長の大熊(升毅)が話し合いの場すらも設けてくれなかったのだから仕方がない。せめてもの思いで大和は自分に賛同してくれた後輩たちと稽古を続ける。いずれレビューガールとして復帰できた暁には、お客さんに迷惑をかけた分も、ストライキは無駄じゃなかったと思ってもらえるようなクオリティの高い舞台を届けるためだろう。

 一方、会社側もストライキを中止させるのに必死で、直接ではなく彼女たちの親に話をつけようとする。スズ子たちは取材にやってきた記者の言葉でそのことを知った。動揺の色を感じ取ると、記者の一人はすかさず「ご家族は心配してるんじゃない?」と薄ら笑いを浮かべて彼女たちをたしなめる。彼らはきっとスズ子たちのストライキを、反抗期を迎えた若い娘たちのお遊び程度にしか思っていないのだろう。だからこそ、“桃色争議”なんていう皮肉めいたネーミングで世間の好奇心を煽っても、ストライキを決行せざるを得なかった彼女たちの事情を掘り下げようとはしない。そこにいる一人ひとりが二度と舞台に立てないかもしれない覚悟で運動に参加した、もう立派な大人だというのに。

 けれど、親にとってはいくつになっても子は子で、心配は尽きないものなのかもしれない。ある日、一斉に山寺に詰めかけてきた劇団員の親たちはそのほとんどがストライキを辞めさせようとする。その流れを変えたのが、子どもの運動会を見にきたかのごとく差し入れを持ってスズ子を応援しにやってきたツヤ(水川あさみ)と梅吉(柳葉敏郎)だ。無理やり自分の子供を連れて帰ろうとする親たちにツヤは「親としては応援してあげなあきまへんで」と声をかける。ツヤと梅吉は「ど」がつくほどの親バカだが、その愛情で子供を縛ろうとはしない。スズ子を一人の人間として尊重し、彼女が決めたことをただ全力で応援する。口に出せば簡単だが、なかなかできることではないだろう。だが、子供に辛い思いをしてほしくないのは他の親も一緒で、元気に稽古している彼女たちの姿を見たら意外にもあっさりと家に帰っていった。

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