こんなSF映画が観たかった! 全てにおいて新しさがあった『ザ・クリエイター/創造者』

 先日来日を果たしたエドワーズ監督にインタビューした際にも、「オリジナルのSF映画を作るのに7年も必要だった」と苦笑いしていたが、SF映画でオリジナル企画を通すには、やはり相当な労力が必要だった模様。製作におけるトラブルが報じられていた『ローグ・ワン』(ディズニー側が作品の出来に納得せず、トニー・ギルロイを新たに雇い再撮影&再編集を敢行)に続いてのタッグとなったクリス・ワイツと手がけた脚本は、『ローグ・ワン』はもちろん、『GODZILLA ゴジラ』や『モンスターズ/地球外生命体』の要素も入った、エドワーズ監督の集大成的作品。『TENET テネット』のジョン・デヴィッド・ワシントン、『GODZILLA ゴジラ』に続いてのタッグとなった渡辺謙、『エターナルズ』のジェンマ・チャンなど、キャストも磐石の布陣。中でも、一際大きなインパクトを残すのが、アルフィーを演じた子役のマデリン・ユナ・ヴォイルズ。本作が俳優デビュー作となったそうだが、彼女の一挙手一投足から目が釘付けになった。

 人間とAIの対立というありきたりなテーマに対して、ギャレス・エドワーズは全く新しい視点で物語を紡いでいく。それは映像表現にも言えることで、さまざまな映画のレファレンスがありつつも、撮影、編集、美術、衣装、プロダクション・デザイン、音楽など、全てにおいて独自の世界観を構築している。北米では興行的に苦戦しているようだが、数年後、数十年後には語り継がれるようなSF映画になるのではないだろうか。

 ちなみに、そんな『ザ・クリエイター/創造者』と同日公開の『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』もオススメしておきたい。個人的にはマーティン・スコセッシ監督の作品の中でも5本の指に入るくらいの大傑作でした。ついでに言っておくと、先週から公開が始まり、北米では記録的大ヒットを記録しているテイラー・スウィフトのコンサートフィルム『テイラー・スウィフト:THE ERAS TOUR』も全人類必見。いま、映画館がアツい!

■ 公開情報
『ザ・クリエイター/創造者』
全国公開中
監督・脚本:ギャレス・エドワーズ
出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン、渡辺謙、ジェンマ・チャン、アリソン・ジャネイ、マデリン・ユナ・ヴォイルズ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2023 20th Century Studios

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