『ブギウギ』が一貫して描く“続けることの難しさ” 『エール』でも描かれた世界恐慌の影響

 実際に当時、USKのモデルとなった松竹楽劇部(現・OSK日本歌劇団)と姉妹劇団の松竹少女歌劇部が待遇の改善を求めてストライキを決行し、ドラマと同じように「桃色争議」として新聞でも大きく報道された。「お客様に迷惑がかかる」として橘が反対する中、大和がどう出るかが注目される。

『なつぞら』北海道編のモチーフが東京編で反復 朝ドラで「労働争議」はどこまで描かれるのか

連続テレビ小説(以下、朝ドラ)『なつぞら』がはじまって2カ月弱が過ぎようとしている。  朝ドラ100本目となる本作は、アニメー…

 労働運動としては、『なつぞら』でヒロインのなつ(広瀬すず)が出産後も正社員として働けるよう、仲間を引き連れ自身が所属するアニメーション会社の社長に直訴。どうにか理解を得ることができ、なつは産休後、正社員として仕事に復帰した。だが、それ以前に出産後、契約社員になることを余儀なくされ、会社を辞めた同僚の復帰までは求めていない。つまり、この労働運動はあくまでもなつ個人の権利を求めるものであり、レビューガールならびに楽団員全員の待遇改善を求める「桃色争議」とは区別される。ただ、なつが出産と育児を両立させたことが前例となり、その後の女性社員の働き方に影響を与えたことは間違いないだろう。

 2023年は10月から始まったインボイス制度に影響を受ける個人事業主の反対運動が各地で巻き起こっている。好きなことを続けるのは難しい。けれど、いつの時代も人々は続けるために闘っており、それがきっと後の世に大事な文化や芸術を継承していくことにも繋がるのだろう。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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