森永悠希、朝ドラ『ブギウギ』股野役のかわいさ 『べっぴんさん』派手な龍一役から大変貌

「みんなもがいてるんや」

 この言葉は朝ドラ『ブギウギ』(NHK総合)第12話の終わりにスズ子(趣里)が感じたことだ。とてつもない才能で追いかけてくる後輩、努力すればするほど自分の実力と今の立ち位置が明確になり、力のなさに悔しい思いが募る。それをうまく処理することができずに、爆発させてしまったのが、スズ子と仲良し同期3人組の和希(片山友希)だが、周りを見渡すと、そんなやりきれない思いを抱えてる人がたくさんいる。スズ子たちの練習の際にいつも伴奏をしているUSKの専属ピアニスト・股野義夫(森永悠希)もそのひとりだ。

 新たな演目の演出を任された大和(蒼井優)は梅丸少女歌劇団(USK)のメンバーたちをビシバシ指導していたが、股野も例外ではない。大和は時折、股野の演奏を止めては「テンポが遅れてますよね?」と厳しく指摘。歌劇団にとって演奏はなくてはならないもの。それがズレていては練習どころか元も子もないのだが、あろうことか股野はつまずいて演奏を止めてしまうことさえあったのだ。だが、それにはちょっとした理由があった。

 スズ子は踊りが上手くないことを自覚し、毎日のように居残り練習をしているのだが、ある日、股野も演奏の居残り練習をしていた。するとそこへ、彼氏に振られたというリリー(清水くるみ)が登場。いくつか会話を重ねると、股野が大和に思いを寄せていることを言い当ててしまったのだ。つまり、練習中に演奏が止まってしまったのは、股野が大和に思わず見惚れてしまっていたから。劇団員としてはちょっと迷惑な話ではあるが、気持ちが見透かされていたことを知ってもじもじと照れてしまう股野の姿はどこかかわいさが感じられた。

 股野を演じている森永悠希は子役からキャリアをスタートさせ、現在もさまざまなドラマや映画に出演する実力派俳優として知られている。今作で朝ドラには4作目の出演となる。『べっぴんさん』(NHK総合)では、ヒロイン・すみれ(芳根京子)の女学校時代の同級生・良子(百田夏菜子)の息子、小澤龍一を演じた。龍一は子供の頃から人の言うことを聞かないところがあったが、成長するにつれ、ジャス喫茶やナイトクラブに通う軽薄な性格に。場の空気を読まない言動をして騒動を招くこともあった。流行に流されやすいところがあり、当時、日本人として初めて、小型ヨットによる太平洋単独無寄港横断に成功し、大きく報道された堀江謙一に影響され世界中を旅することを決意。何年かの放浪の後、自らの経験を活かし、大阪万博の影響で海外の料理を食べたがる人々のリクエストに応えて料理をすることにやり甲斐を感じ、父の喫茶店を改名した「レリビィ」で料理を担当するようになった。

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