『ONE PIECE』は“国民的アニメ”と言えるか? 放送25年目にして迎えた人気の絶頂

 『ONE PIECE』が盛り上がっている。尾田栄一郎の原作漫画は「エッグヘッド編」が進んでスリリングな展開が続いており、Netflixの実写ドラマシリーズは世界から大好評で迎えられている。TVアニメは「ワノ国編」で最強の敵だったカイドウを倒し、いよいよ「エッグヘッド編」へと入って『ONE PIECE』世界の秘密に迫っていこうとしている。毎週の展開を楽しみにしている人が大勢いる状態は、もはや国民的アニメと言えそうだが、“元祖”国民的アニメの『サザエさん』や、後に続く『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』とは少し立ち位置が違っている。『ONE PIECE』は果たして国民的アニメと言えるのか。

 ルフィが「ギア5」を会得し「ニカ」となってカイドウに立ち向かったテレビアニメ『ONE PIECE』の怒濤の展開は、元からの作品のファンだけでなく作画の凄さに驚くアニメ好きも巻き込んで、大いに関心を集めた。4年以上続いた「ワノ国編」に付いていけずアニメを観なくなってしまっていた人も、評判を聞いて観るのを再開したかもしれない。実写ドラマシリーズの好評を耳にして、『ONE PIECE』のことを思い出してTVアニメをまた見始めて、強さを増したルフィに驚いた人もいるかもしれない。

ONE PIECE 1079話予告「朝が来た!ルフィ達の休息!」

 そして、ここから始まる麦わらの一味の新たな冒険に、さらに驚くことになる。ビッグ・マムを倒しカイドウも倒して四皇の仲間入りを果たしたルフィが、「世界最大の頭脳を持つ男」として何度も名前が取りざたされてきたベガパンクと遂に出会ったり、ビビの父親でアラバスタ王国国王のネフェルタリ・コブラの身に一大事が起こったりする展開からは、海賊どうしの覇権争いとも、海賊と海軍との大激突とも違った物語世界の成り立ちに関わる話が次々と飛び出して来て、とてつもない構想の下に『ONE PIECE』が描かれて来たことを思い知るのだ。

 あとは、ゴールド・ロジャーが残した「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」とはいったい何かという、最大の謎に向かって突き進むだけ。放送開始から満24年が経ち、25年目へと突入したアニメにいつか訪れる最終回まで、麦わらの一味といっしょに走り続けることになる。その時の盛り上がりはカイドウ戦の比ではないほどに大きなものとなり、日本だけでなく世界をも巻き込んだ一大イベントとなるだろう。

アニメ『ONE PIECE』ワノ国編は毎回が神回状態に “ニカ”となったルフィの圧巻バトル

バトルバトルバトル。漫画でもアニメでも『ONE PIECE』の華のひとつが次から次へと現れる強敵たちを相手に、麦わらの一味が繰り…

 その意味では、『ONE PIECE』はもはや日本を代表する国民的アニメであり、さらにはこれまでにない世界的アニメとなる可能性も見えている。

 もっとも、放送年数では『ONE PIECE』を30年上回り、55年目に入った『サザエさん』を前にすると、国民的と言っていいか悩むところも出てくる。

 『サザエさん』が1979年9月16日の放送で記録した番組最高視聴率は39.4%で、TVアニメでは40.3%の『鉄腕アトム』、39.9%の『ちびまる子ちゃん』に続く3番目の高さを誇っている(ビデオリサーチ社調べ)。

 対して『ONE PIECE』は視聴率が20%を超えていない。『ドラえもん』にも31.2%の最高視聴率があり、『クレヨンしんちゃん』でも28.2%という視聴率を記録したことがあるのと比べると、ずいぶんと離されてしまっている。

 なおかつ『サザエさん』や『ちびまる子ちゃん』『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』といった作品は、一時期コンスタントにそれらに近い数字を獲得し続けていた。放送時間になれば誰もがテレビの前に座って観ていたアニメだった。それを国民的アニメと言うなら、『ONE PIECE』の数字は少し物足りない。

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 もっとも、視聴習慣が変わった1999年10月に始まってすぐに高い視聴率を叩き出し、『サザエさん』や『ドラえもん』に並ぶ人気アニメとなったという点では、先行する国民的アニメの列に参加する資格は得ていると言える。そして、同じように走り続けて24年が経った今、それらを超える人気を保ち続けていることは十分に評価に値する。『ONE PIECE』より3年早く始まった『名探偵コナン』と共に、国民的アニメと名乗るにふさわしい作品だと、胸を張れるのではないだろうか。

 『名探偵コナン』も青山剛昌による漫画が1100話を超えて連載中で、テレビアニメも続き映画も最新の劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影』が130億円を超える興行収入を稼ぐ大ヒット作となった。『ONE PIECE』の方も映画の最新作となる『ONE PIECE FILM RED』が197億円の興行収入を叩き出し、10月20日からの1カ月限定での再上映で200億円を超えることは確実だ。漫画もテレビアニメも映画までもが絶好調という『名探偵コナン』と『ONE PIECE』を国民的アニメと呼ばずに何を呼ぶ? そんな声も出そうだ。

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