『家政夫のミタゾノ』“最も近い他人”が暴く家庭の闇 受け継がれる家政婦/夫ドラマの魅力

 人気シリーズ『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日系)の最新作となる第6シリーズが10月10日に放送開始となる。

 抜群の家事能力を誇り、何事も無表情でそつなくこなす女装した謎の大柄な家政夫・三田園薫(通称:ミタゾノさん)が、派遣先の家庭の内情を覗き見し、そこに巣食う“根深い汚れ”までもスッキリ落としていく、シュールかつ痛快な展開はクセになる。

 同じく、完璧な家事スキルを持ち、淡々と頼まれごとをこなす無表情でミステリアスな家政婦と言えば、『家政婦のミタ』(日本テレビ系)の三田灯(松嶋菜々子)が真っ先に思い浮かぶ。型破りな方法によって崩壊しかけの家族を再生させるミタの手腕がお見事だった。さらに、後半にかけて彼女がロボットのようにクスリとも笑わず、ただただ業務命令に忠実に従うのはなぜなのか、ミタが抱えるあまりにハードな過去も明かされていき、ラストには彼女自身の再生の希望も描かれた。

 家族ゆえに打ち明けられないことがあり、いくら同じ屋根の下に住んでいたって、それぞれに隠し事の一つや二つくらいあっても不思議はない。何食わぬ顔して食卓を囲みながらも、家族に見せる顔もまたそれぞれが持つ多くの顔のうちの一つにしかすぎないだろう。それでも何となく回っていた家庭内に、全く関係のない部外者である家政婦(夫)が加わり、俯瞰の視線がもたらされることで各家庭が持つ問題点が鮮やかに炙り出されていく。

 『家政婦のミタ』のタイトルの元になっている『家政婦は見た!』(テレビ朝日系)などは特に顕著だが、一般庶民である主人公の石崎秋子(市原悦子)が家政婦として華やかながらもさまざまな疑惑やスキャンダルが付き纏う上流家庭に派遣され、自身が見聞きしたことを最終的にはぶちまけるという、下剋上のような要素とゴシップ要素が見事に掛け合わさり痛快さを際立たせていたように思える。

 さらに、主人公がそもそも復讐のために派遣先を選定し、家政婦として敵に近づく潜入モノのようなハラハラ感も相まって人気を博したのが、Netflixシリーズ『御手洗家、炎上する』だ。

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