朝ドラ『ブギウギ』蒼井優の“物言わぬ美しさ”が魅了する 礼子とアオイの振る舞いに宿る説得力

 かたや礼子は物静かだが、その背中で言葉以上のものを語るタイプだろう。デビューできるまで先輩たちの稽古を見て覚える鈴子たちは、バレエを踊る礼子の姿に圧倒されて言葉を失う。礼子役の蒼井優は幼少期からクラシックバレエを継続しており、その身体表現力の高さはすでに映画『花とアリス』や『フラガール』で広く知られているが、今作では改めて彼女の踊り始めた瞬間にハッとさせられるような物言わぬ美しさを堪能できる。

 どちらも魅力的な先輩だが、鈴子が惹かれたのは礼子の方だった。鈴子の同期・白川幸子(小南希良梨)曰く、両親の反対を押し切り、家出同然でUSKに入団した礼子には人一倍歌や踊りに対する強い思いがあるのだろう。本番後も一人で稽古に励む彼女の姿を窓越しに見つめながら、鈴子は「あんなふうに踊れるようになりたい」と思う。研究生の中でも一番背が低く、今はただ楽しいからという理由で歌劇団にいる鈴子が礼子との出会いを通じてどのように成長していくのか。華やかに見えてその裏にある一人ひとりの泥臭い努力で成り立っている世界ではきっと挫折も経験するだろうが、鈴子の場合はどんなに疲れていても家に帰れば夢を全力で応援してくれる家族や常連客たちが待ってくれている。それは決して当たり前ではなく、幸運なことだ。

 家族に反対を受けている礼子や幸子、厳しい先輩のアオイ、みんなの輪の中に入ろうとしない同期の桜庭辰美(木村湖音)など、置かれている状況も性格も異なる団員たちと共に夢への階段を駆け上がっていく鈴子を見守りたい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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