『ブギウギ』これぞ大阪制作の朝ドラ! 澤井梨丘演じる鈴子の物語が“癖な浴客ら”と開幕

<東京ブギウギ〜リズムウキウキ〜心ウキウキワクワク〜♪>

 子どもから大人まで、誰しも一度は耳にしたことのあるメロディがお茶の間を包み込む。戦後間もない昭和23年(1948年)の東京。趣里演じるヒロイン・スズ子は日帝劇場のステージに立っていた。ステージの広さを際立てるような、その華奢な身体からは想像もつかないパワフルな歌声とダンスで人々を元気づけるスズ子。第109作目となる連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK総合)はそんな場面からスタートした。

 “ブギの女王”と称される昭和のスター歌手・笠置シヅ子をモデルに、歌で日本中をズキズキワクワクさせたスズ子の笑いと涙の物語を紡ぐ本作。冒頭の華やかなステージから時は遡り、大正15年(1926年)へ。「ワテ、歌うで!」と題した第1週初回の放送では、のちに“福来スズ子”の芸名で世の中に羽ばたいていく花田鈴子(澤井梨丘)の幼少期が描かれる。当時、鈴子のステージは大阪・福島のとある商店街にある銭湯「はな湯」だった。

 映画とお芝居が大好きな父・梅吉(柳葉敏郎)と、「芸は身を助けるし、人生楽しなる!」がモットーの母・ツヤ(水川あさみ)。ある意味、英才教育ともいえる環境で育った鈴子は当時から歌と踊りが大好き。日本舞踊の先生からは「筋がいい」と褒められ、両親が営むはな湯のお客さんたちはみんな鈴子が聴かせてくれる歌を楽しみにしていた。

 お見合いがうまくいかない八百屋のキヨ(三谷昌登)、「熱々や」が口癖の医者・熱々先生(妹尾和夫)、銭湯の休憩スペースでお客さんにあん摩を施すアサ(楠見薫)、怪しげな占い師の易者(なだぎ武)と、はな湯の常連客たちは「これぞ大阪制作の朝ドラ!」な一癖も二癖もあるキャラクターばかり。だが、一方でまだ幼い鈴子には十分に理解し得ない大人の事情も垣間見えてくる。

 例えば、従業員のゴンベエ(宇野祥平)は川へ飛び込んだ拍子に記憶を失ってしまったそう。そんな素性が知れぬ男を店で働かせているだけではなく、家にも住まわせている梅吉。しかも、ゴンベエは鈴子たちと一緒にご飯を食べようとしない、ちょっとした変わり者だ。それでもなお、「あいつはあっちが居心地がええんやろ」と梅吉は寛容な心でその存在を受け入れている。常連客のアホのおっちゃん(岡部たかし)が銭を落としたふりをしてタダでお風呂に入ろうとしても、梅吉はニコニコ。ツヤも一切咎める様子がない。

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