『アクアマン/失われた王国』は不安を吹き飛ばす快作になる予感 異父弟とバディ結成?

 こんにちは、杉山すぴ豊です。ここ最近のマーベル、DCのアメコミヒーロー映画まわりのニュースや気になった噂をセレクト、解説付きでお届けします!

 今回は、先日リリースされたDC映画最新作『アクアマン/失われた王国』(米公開2023年12月20日、日本公開2024年1月)の予告編解説です。

映画『アクアマン/失われた王国』US版予告

 『アクアマン/失われた王国』は、2018年公開の『アクアマン』の続編です。出演はジェイソン・モモア、監督はジェームズ・ワン。まず予告を見て安心しました。すごく面白そう。前作『アクアマン』の持っていた良さがすべて継承されています。実はなぜ“安心した”かというと、本作は極めてゴタゴタした状況の中で制作されました。それが「映画の出来に悪い影響を与えるのでは?」と不安に思っていたからです。そのゴタゴタとは2つあります。

 『アクアマン』シリーズは、2013年の『マン・オブ・スティール』から始まり、『ジャスティス・リーグ』を経て、2023年に公開された『ザ・フラッシュ』と同じ世界観に属しています。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に対し、俗に「DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)」と呼ばれるシリーズです。したがって『アクアマン/失われた王国』はDCEU最新作であるのですが、もしかすると最終作になるかもしれないのです。

 というのも、DCは今後ジェームズ・ガンを中心に、新たなDC映画世界であるDCユニバース(DCU)を立ち上げることが決まっています。つまり、DCEUがDCUに向かう極めて微妙な時期に公開される作品なのです(ジェームズ・ワンとジェームズ・ガンというよく似た2人の名前が出てくることもややこしいですよね)。だからDCEUからDCUにうまくバトンがわたるよう様々な調整を本作がしなければならない。これが1つめのゴタゴタです。

 もう1つは、アクアマンの恋人であるメラ役のアンバー・ハードが、例のジョニー・デップとの裁判で相当イメージが悪くなってしまったこと。だからメラ=アンバー・ハードの出番を減らすというような軌道修正を余儀なくされるのではないかということです(個人的にアンバー・ハード版メラは大好きなキャラなので出てほしい)。

 しかし先にも書いたように、そんなゴタゴタ、不安を吹き飛ばすぐらいこの予告はワクワクさせてくれました。

本予告からわかった重要なポイントは、

  • 物語は前作から4年後
  • 主人公アクアマンことアーサーとメラの間には子どもが生まれている。つまり、アクアマンは父親
  • アクアマンは地上=人間界で暮らしているように見えるが、ちゃんと海の王=アトランティスの王としての務めを果たしている
  • 一方で、前作からアクアマンを憎んでいるブラックマンタ(赤い目のヘルメットから破壊光線を発射する悪人)はさらに強力化・凶悪化して、アクアマンおよびアトランティスに復讐を誓う
  • ブラックマンタがあまりに危険な存在になったため、アクアマンは前作で追放・幽閉の身となった異父弟のオーム/オーシャン・マスターに協力を求める
  • ブラックマンタはブラック・トライデント(黒い三又の槍)を手にし、これが絶大なパワーをもたらしている
  • このブラック・トライデントはかつてアトランティスが封印した、いわくつきの邪悪な力だった

ということです。

 本作の大きな特徴は、前作の主要人物がほぼ続投で新キャラがほとんどいない、ということ。まさにストレートな続編になっています。そして、前作の事実上のヴィランはオームであり、ブラックマンタはサブ悪役でしたが、今回オームはアクアマン側につき、ブラックマンタはメインヴィランに昇格。アクアマンとオームの戦いは王座をめぐるものでしたが、今回のブラックマンタのモチベーションはアクアマンへの復讐。彼の愛する者を奪う(殺す)こと。したがってオーム以上に恐ろしいんです。

 予告編にアクアマンの父の家が燃えているシーンがありますね。もしかして、父はここで死んだのでしょうか。実はもっとショッキングな可能性もあります。コミックでは、アクアマンとメラの子どもはブラックマンタに殺されてしまうのです! ということはあの赤ちゃんはもしや……? しかし、アクアマンの悲壮な表情は(少なくともこの予告には)出てこないし、ヒーロー映画で赤ちゃんが殺されるというのは考えづらいので助かると思います。もしかするとメラは、ブラックマンタから我が子を守るため、赤ん坊と一緒に姿を消すという流れになるのかもしれません。そうすれば無理なくアンバー・ハードの出番を減らすことにもつながります(この予告編では、水中で丸いガラス窓か何かを必死でたたくシーンにメラが出てきます)。

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