増田有華×秋山ゆずき×大久保桜子、『●●ちゃん』を経て思う“自分らしくあるための生き方”

 “普通の幸せ”とは何か。そんな悩みに頭を悩ませたことのある人は多いのではないか。

 ABCテレビとDMM TVの共同企画として制作された『●●ちゃん』は、性に悩む女性の本音を赤裸々に描いたラブコメディだ。本作では3人のアラサー女性が、結婚や出産への憧れと自身が抱える“普通じゃない”悩みの狭間で揺れ動く。3人の女性の人生が交差していく様に不思議と勇気がもらえるのは、「セックスちゃん(柏木史恵)」の増田有華、「高学歴ちゃん(宮田貴子)」の秋山ゆずき、「不倫ちゃん(吉村真湖)」の大久保桜子、それぞれがキャラクターに込めた思いが存在するからだろう。

 観る人の生き方をそっと肯定するようなポジティブなパワーに溢れている本作。今回は3人の『●●ちゃん』に、キャラクターと向き合う中で見えた“自分らしく今を生きるためのヒント”を聞いた。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

増田「『●●ちゃん2』やりましょう! 劇場版でもいいです!」

増田有華

ーー「性に悩める女性3人のピンクでポジティブなオムニバスラブコメディ」と銘打たれた『●●ちゃん』ですが、最初にオファーを受けたときはどのような印象を持ちましたか?

増田有華(以下、増田):最初にタイトルを聞いたときは、「私のパート、『セックスちゃん』ってどんなタイトルや!」って思いました(笑)。でもその後すぐに原作を読ませていただいたら、「これは面白いぞ」と。悩めるアラサー女子たちの話というテーマもなかなかないじゃないですか。私も実際、30歳になって“アラサー女子”として悩んできた場面もたくさんあったので、ぜひ頑張りたいなと思いました。

ーー原作は繊細な心情描写も多く、タイトルの印象とはまた変わりますよね。

増田:そうですね。単にセックスが好きな女の子の話なのかなと思ったんですけど、原作を読んでいくと、また違う側面が見えてきて。史恵は、学生時代の人間関係での悩みからセックスがかけがえのないコミュニケーションになった子なんです。いろいろなかけがえのないものを持ってる人たちと同じで、彼女にとってはそれがたまたまセックスだっただけ。ただ快楽に溺れているわけじゃないところが、素敵だなと思いました。

秋山ゆずき(以下、秋山):私も原作の漫画を読みまして、面白い視点だなと思って。こういう話って、あんまり他の人に聞けないじゃないですか(笑)。それに、誰かに聞くなら自分のことも言わなきゃいけないってなると、あんまり人との会話のトピックには選びづらいというか。でもきっと触れてこなかったけど迷ってたり、悩んでたりする人はたくさんいるはずなんですよね。この作品は、そういうみんなの中にある「セックス」だけじゃない悩みの部分を重ねて観られる作品だなと思いました。元々女性たちの友情ものをやりたかったこともあって、オファーには「すぐやります」と即答でした。

ーー秋山さんはクランクアップの日にInstagramで、「昨年くらいからマネージャーさんにポップなドラマに挑戦したいと言ってたのが叶った」と書かれていましたね。なぜそのように考えていたのでしょうか?

秋山:私の心境の変化だと思うんですけど、29、30と年を重ねたときに、かわいらしい恋愛や刑事もののお芝居は結構やらせていただいたんですけど、もう少し心の深いところを描いた作品に挑戦したくて。『●●ちゃん』みたいな、ちょっと人の心の中を掘り下げた作品だけど、ポップなコメディ感もある作品をずっとやってみたかったんです。

ーー大久保さんはいかがですか?

大久保桜子(以下、大久保):普段不倫をテーマにした作品に触れることがなかったこともあって、台本をいただいたときに、「できるかな……」っていう不安は少しありました。でも実際に読んでみたら面白すぎてあっという間に読み終わってしまって。「もう1回読もう」を繰り返しているうちに、どんどん深い話になっていくんですよね。それぞれの女性たちが抱える根本の悩みには、共感できることばかりでした。

ーー今回大久保さんが演じられるのは『不倫ちゃん』吉村真湖役ということで、テーマも重ためですよね。役作りはどのようにされたのでしょうか?

大久保:「不倫」という要素だけにフォーカスすると、個人的にはあんまり理解できないことが多いなって思うんですけど……。そこにフォーカスせず彼女が求めているものを突き詰めていくと、「ただただ愛されたい」「自分だけを見てほしい」とか結構理解できる解釈になるんです。そこを軸に役作りをしました。

新ドラマ「●●ちゃん」第1話ダイジェスト/増田有華主演・秋山ゆずき・大久保桜子 - DMM TV

ーー撮影を終えた今の心境を改めてそれぞれお伺いしてもよろしいですか。

増田:もう1回やりたいです!

秋山:反応速っ(笑)。

増田:「1人も欠けちゃいけないようなメンツが揃ったな」と思っていて。かなりタイトなスケジュールで、最初は寝て起きたら現場に行くみたいな生活が続いてたんですけど、それでも現場に行けることが楽しみというか。みんなに会えることが嬉しかった日々でした。

秋山:撮影を終えて最初に感じたのは「寂しさ」ですかね。貴子という役柄だけじゃなくて、自分自身の心もまるっと動いたというか。全員で一緒に人間関係を作っていたからこそ、心を動かされたんだと思います。2人に助けられたのはもちろん、「周りのスタッフさんたちにいっぱい助けてもらいながら、この作品を作ることができたんだな」としみじみ感じました。

増田:わかりすぎる……これはもう『●●ちゃん2』やりましょう! 劇場版でもいいです!

大久保:私も寂しくなりました。増田さんと秋山さんが先にそれぞれの撮影シーンを終えていたこともあって、最終日はこの3人の中では1人だったんです。ご飯を食べるときに一緒にお話ししながら食べるんですけど、「お話しする相手がいない」ってことを実感した瞬間に、急に寂しくなっちゃって。現場が終わることで、こんなに寂しいって思ったことないかも。それくらい大切な人たちに会えた現場でした。

ーー今回はオムニバス形式で物語が進行するとのことですが、実際3人で共演されるシーンも多いんですね。

増田:結構多いです。サウナのシーンがあるんですけど、そこにかなり女子ならではの、男子に聞かせられない見どころシーンが詰まってます!

ーー増田さんの演じる「セックスちゃん」は、原作ではモノローグが多い印象ですが、どのような演技で表現されているのでしょうか。

増田:表情だけで見せる難しさを感じました。同じように苦しむ表情でも、苦しみながらもいろいろ思いをはせたり、いろんな表情のパターンがあったんです。でもそこは、過去のAKB48時代の経験が活きた瞬間でもあって。AKB48のときにとあるゲームを発売してて、「苦しい表情・悲しい表情・落ち込む表情」などをそれぞれ撮っていく、みたいなお仕事があったんですよね。「悲しいと落ち込むって、何が違うんだろう」と過去に思考を巡らせた経験が、身になってた気がします。

ーー増田さんのキャストコメントでは、本作をセンシティブなテーマを扱いながらもコメディ要素の強い「真面目にふざけたドラマ」と表現されていました。

増田:そうなんです。だから私は、ただひたむきに現場にセックスをしに行こうと思ったんです(笑)。コメディの面白さって、真っ当な大人たちが真面目にふざけているところにあるはずだから。お芝居も、一生懸命演技するからこそ、滑ってるシーンが面白かったりするじゃないですか。結局のところ、無理に笑いに持っていこうとするより、史恵が一生懸命ひたむきにセックスをするために日々を過ごしてることが面白く見えるんだろうなって思って。

ーー秋山さん、大久保さんは、ご自身の役柄を演じる上で意識したことはありますか?

秋山:私の演じる貴子は、他人の学歴を気にしているキャラクターです。本読みの時にプロデューサーさんから、「貴子の発言は人によっては強く聞こえる気がしていて、嫌われないか心配だったんです。でも秋山さんの貴子を見て、その心配がもう一瞬で吹き飛びました」と言っていただいて。それを聞いたときに、貴子の言葉の刺々しさを改めて自覚したんですよね。そこから貴子が自分の言葉やポリシーを、武器にしているようには見えないよう意識しました。自分を守るためにそのセリフを選んで喋ってるというか。その方が貴子のキャラクターの本質に近い気がしたんです。

大久保:私は、不倫をする役といっても「愛されて自己肯定感を高めるために不倫をしたい」気持ちと、「1人の女性として相手に本気で乙女心を抱く」気持ちの違いを大切にしたいなと。だから、この期間中は相手である黒川さんに本気で恋をする気持ちでいこうと思っていました。

大久保桜子

秋山:すごいね〜偉いね〜!

増田:親戚のおばさんのポジションなの?(笑)

大久保:ただ、「本気で恋をしよう」と思っていたんですけど……いざ現場に入って黒川さんを演じる田村健太郎さんとお芝居をしたら、黒川さんがかなり癖のあるキャラクターで。味のある面白いお芝居なのですが、「お姫様」とか「シンデレラ」って呼ばれるたびに我に返っちゃう自分がいて。そこの集中力はかなり必要でした(笑)。

秋山:黒川さんは観てもらわないとわかんないレベルの面白さだよね。

増田:あの“香り立つ”感じは、本当に皆さんに観てほしい!

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