『VIVANT』二宮和也演じるノコルは一体何者なのか 福澤克雄作品の役に共通する“父親”の影

 それらの流れを踏まえると、福澤作品における二宮の演じる役どころには、常に“父親”の影が共通して描かれていることがわかる。それはノゴーン・ベキの“血のつながらない息子”である今回の『VIVANT』でも同じように引き継がれている。第7話の終盤で乃木と対峙し、前回の第8話では、“兄弟”として乃木と関わることになる。シンプルに捉えると、突然現れた“兄”の存在によって組織のなかでの、あるいは父親のなかでの自分のポジションが危ぶまれ焦る“弟”という立場になるのだが、色々な面で想像を超えてくるこのドラマだけに、それ以上の何かがまだ隠されているような気がしてならない。

 松坂桃李演じる黒須を撃てと、ベキから銃を手渡された乃木に対し「お父さんの銃が穢れる」と言って弾が一つしか入っていない自らの銃を渡したノコル。乃木が混乱に乗じて他のテントメンバーを撃つのではないかと警戒したとも語られるが、その思惑はいまひとつ定かではない。ましてやほとんど感情をあらわにしてこなかった彼が、そのシーンで初めて大きな声を出し、その後もことあるごとに乃木に対してわかりやすいほど敵意をむき出しにするのである。

 第1話で登場した二宮が、“ノコル”という乃木の弟/ベキの息子だとわかったいま、改めて大きな謎として横たわる“ノコルは何者なのか”。その1点において『VIVANT』という作品の真価が見えてくることだろう。

■放送情報
日曜劇場『VIVANT』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
※第9話は21:30より79分SP
出演:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、竜星涼、迫田孝也、飯沼愛、山中崇、河内大和、馬場徹、Barslkhagva Batbold、Tsaschikher Khatanzorig、Nandin-Erdene Khongorzul、渡辺邦斗、古屋呂敏、内野謙太、富栄ドラム、林原めぐみ(声の出演)、二宮和也、櫻井海音、Martin Starr、Erkhembayar Ganbold、真凛、水谷果穂、井上順、林遣都、高梨臨、林泰文、吉原光夫、内村遥、井上肇、市川猿弥、市川笑三郎、平山祐介、珠城りょう、西山潤、檀れい、濱田岳、坂東彌十郎、橋本さとし、小日向文世、キムラ緑子、松坂桃李、役所広司
プロデューサー:飯田和孝、大形美佑葵、橋爪佳織
原作・演出:福澤克雄
演出:宮崎陽平、加藤亜季子
脚本:八津弘幸、李正美、宮本勇人、山本奈奈
音楽:千住明
製作著作:TBS
©︎TBS

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