そして、瞳子と有栖の共同生活の解消もまたひとつの「卒業」として描かれる。思い返せば、出会ったときの2人は、すぐに1人で何もかも抱え込んでいっぱいいっぱいになっていた。だが、今はどうだろう。瞳子は加瀬（上杉柊平）からの告白を受け入れる勇気を持ち、そして結婚しようとしている。母親の貴美子（片平なぎさ）が、いざとなると臆病になると心配していたあの瞳子が、だ。

　一方で、有栖も1人で息子の海を育てると言って聞かなかったが、瞳子との出会いをきっかけに、父親の市郎（安田顕）に理解を求め、産後は貴美子のサポートもありがたく受けられるようになった。また、元恋人の康介（八木勇征）からの養育費も。これは海の権利であるだけでなく、父親として何かしてあげたいという康介からするとある種の救いになっているようにも感じた。そして、何より今回大事なプレゼンのタイミングでかかってきた保育園からのお迎え電話に、「代わりに行く」と言ってくれた祐馬の存在だ。きっと少し前の有栖だったら、何がなんでも自分で行くと言いはったに違いない。でも、今は祐馬の好意に甘えられる勇気を持つことができた。

　瞳子と有栖は2人で生活をすることで誰かに頼ることを覚え、「1人」を卒業することができた。その輪は着実に広がりを見せて、今やこんなにも多くの人が自分たちの夢を、恋を、未来を応援してくれるようになった。

　だからこそ、前に進むのだ。2人の暮らしは形を変えるかもしれないけれど、お互いがお互いの幸せを願う気持ちは変わらない。もちろん今の風景のままでいたい気持ちはあるけれど、そんな名残惜しさを感じることができることもまた「幸せ」の証なのだから。

　誰かの夢を応援する気持ちや、なりたい自分を持ち続ける想いがあれば、たとえ何かを諦める瞬間がやってきたとしても、好きな人と好きな物に囲まれて幸せを噛み締めながら生きていける。だから、遠回りすることも、卒業することも、恐れなくて大丈夫。そんな温かな余韻に浸れる最終回になってくれるのではないだろうか。

■放送情報
火曜ドラマ『18／40～ふたりなら夢も恋も～』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演：福原遥、深田恭子、鈴鹿央士、上杉柊平、出口夏希、長澤樹、八木勇征（FANTASTICS）、嵐莉菜、シルビア・グラブ、髙嶋政宏、美村里江、松本若菜、片平なぎさ、安田顕
脚本：龍居由佳里、木村涼子
プロデューサー：韓哲、荒木沙耶、内川祐紀
演出：福田亮介、松木彩、宮﨑萌加
音楽：吉俣良
主題歌：Ado「向日葵」（ユニバーサル ミュージック）
製作著作：TBS
©TBS
公式サイト：https://www.tbs.co.jp/1840_tbs/
公式X（旧Twitter）：@1840_tbs
公式Instagram：1840_tbs