『真夏のシンデレラ』掘り起こされる夏海と健人の間にある“格差” ついに匠が想いを告げる

 9月4日に放送された『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)第9話は、まだ夏の余韻と未練のなかにありつづける。そこに“夏の終わり”を告げる風を起こして場をかき回していくのは、やはり前回のエピソードから登場した皐月(山崎紘菜)の存在であり、またようやく夏海(森七菜)への恋心を自覚した匠(神尾楓珠)でもある。

 9月に入り、Kohalaもサップ教室も閑散期に入ることから夏休みを取らせてもらうことになった夏海。それでも休みに何をしたらいいのかと悩み、たまたま家にやってきた匠に相談する。好きなことをすればいいという助言に従い、行きたいバンドのライブを調べる夏海だったが、チケットはすでに完売。そこで匠は、夏海に内緒で健人(間宮祥太朗)に連絡を取り、チケットを取るために協力を呼びかけるのである。健人が考え込んでいるのを見た皐月は、友人に頼んでみると言い、結局、夏海と匠、健人と皐月の4人でそのライブへ行くことになるのだ。

 今回のエピソードの前半で繰り広げられる“ライブのチケット”をめぐる一連によって、夏海から匠、匠から健人、健人から皐月、皐月から夏海へと、このドラマの終盤を盛り上げる要素となるであろう“四角関係”を構成する4人が器用に繋げられていく。しかも匠と健人、皐月と夏海という、これまで電話で繋がっていない同士が電話で会話をする。その光景は、前回のラストで健人と夏海が電話をしている姿をそれぞれの近くから眺めていただけだった匠と皐月が、健人と夏海の関係にたしかに割って入ろうとしているようにも見える。

 肝心のライブシーンは思いのほかあっさりと収められてしまった印象だが、重きが置かれているのはその後の4人での会話シーンであろう。思わず匠が反論したくなるほど、皐月が投げかける夏海と健人の関係に水を差すような言葉。会社の跡継ぎである健人の家の厳しさは、これまでの流れでもぼんやりと示されてきたが、ここにきて改めて夏海と健人の間にある“格差”が掘り起こされるのである。そうなると、この四角関係の顛末以上に(ラストで匠がようやく夏海に想いを告げるとはいえ)、健人の親に認められるのか否かということこそが夏海の“真夏の”シンデレラストーリーの最後の関門になるのだと示されたといってもいいだろう。

 ところで、前回までは穏やかな空気があった愛梨(吉川愛)と修(萩原利久)の関係にも微妙な空気が立ち込み始める。やたらと頻繁に連絡を取ろうとして愛梨が困り果て、挙句に修は「恋愛なんて必要ないのかもしれない」とネガティブな考えを守るに漏らす。また一方で、理沙(仁村紗和)も、元夫の翔平(森崎ウィン)とKohalaにいるところへ宗佑(水上恒司)がやってきて気まずい空気が流れるのだが、それがきっかけで宗佑への想いを翔平に打ち明けることとなる。母親であることを優先し、胸にしまっておくとは言うものの、他の2組よりも理沙と宗佑の関係が一番良い感じに落ち着きそうではないか。

■放送情報
『真夏のシンデレラ』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:森七菜、間宮祥太朗、神尾楓珠、吉川愛、萩原利久、白濱亜嵐、仁村紗和、水上恒司、大西利空、森崎ウィン、桜井ユキ(友情出演)、山口智充ほか
脚本:市東さやか
演出・監督:田中亮
プロデュース:中野利幸
音楽:末廣健一郎、MAYUKO
主題歌:緑黄色社会「サマータイムシンデレラ」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作・著作:フジテレビジョン
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