『CODE』坂口健太郎がたどり着いた残酷で虚無な真実 最終回が提示した“人間らしさ”

 『CODE-願いの代償-』(読売テレビ・日本テレビ系)の最終話が9月3日に放送された。

 婚約者・悠香(臼田あさ美)らを処分した真犯人の正体は、ランリー社の社長・市川省吾(玉山鉄二)が生み出したCODEに内蔵された学習型AI。このAIがプレイヤー同士をマッチングし、自らの存在を脅かす存在を排除するようになったのだった。

 CODEの独断によって二宮湊人(坂口健太郎)のフェイク動画が出回り神奈川県知事・青柳(新納慎也)の襲撃容疑がかけられている間に、市川と青柳は「プロフェット」のオンライン化を発表する。この国にとって邪魔な人間を炙り出し排除とわからない方法で社会的に抹殺するというプロフェットの導入によって、市川は本当に自らの理想郷が作れると思ったのだろうか。市川は“欲望に染まっていない”人間を神聖視するところがある。理想郷の実現のために、ある意味自ら手を汚さず、自らが判断することさえなく、AI任せで高みの見物で邪魔者を排斥していく自分のことを“欲望に染まっていない側”の人間だとでも思っているのだろうか。

 そんな中でも、本作の中にあった“救い”は、AIでも予測し切れなかった人間の理屈では割り切れない善意や相手を思いやる心だろう。CODEから息子の芯(木村優来)か仲間の咲(堀田真由)の命かの二択を迫られた三輪円(松下奈緒)は、咲を見殺しにはしなかった。

 さらに、市川の暴走を止めるために、自らがCODEプレイヤーになる禁じ手に打って出て彼を殺そうとした雑誌記者・椎名(染谷将太)と、市川の罪を公にし今一度人々の善意にある意味賭けようとした二宮では、最終的に後者が市川自身を追い詰めることになった。これには皮肉にも、今までは市川の理想の実現に協力的だったAIの「自らを脅かす存在は排除する」という自衛機能の矛先が、プロフェット導入のためにCODEを利用しただけの市川に容赦なく向けられたのだ。AIの寸分の狂いなき目的完遂機能が最後は市川の暴走を止めたのだった。

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