『こっち向いてよ向井くん』赤楚衛二に投げられた牽制球 “らしさ”を感じた洸稀の価値観

 これまで向井くん(赤楚衛二)のよき相談相手であった洸稀(波瑠)の恋に大きく進展が。『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)の第8話では、美和子(生田絵梨花)との恋を終わらせた向井くんに、思いもよらぬ“牽制球”が飛んでくる。恋愛迷子な向井くんの“恋”を描いてきた本作に、男同士の信頼関係や男女の友情など複雑な人間関係が絡んでくるのであった。

 環田(市原隼人)から突然呼び出された向井くん。ずっと環田のことを尊敬してきた向井くんだが、環田と洸稀の煮え切らない関係にはモヤモヤしていた。気まずさのせいで洸稀のことを話題にできない向井くんに、環田が思いもよらぬ言葉をかける。それは「あの子(洸稀)にちょっかい出すのやめてくれないかな」というもの。これをきっかけに、向井くんは洸稀とどう付き合っていいのかが、わからなくなってしまっていた。さらに向井くんは、自分の会社が環田と洸稀の務めるアパレル会社とコラボすることになったことを知る。プライベートだけでなく仕事でも環田と洸稀の板挟みになってしまった向井くんは、環田からの牽制に気まずい想いを抱えていた。そして事態は急展開を迎える。向井くんをライバル視する環田はとうとう洸稀に結婚前提の交際を申し込んだ。しかし洸稀はそれを断ってしまったのだ……。

 恋愛にはそれぞれの価値観がある。どんな恋愛を望むのか、どんな関係が負担になるのか。自分が過去に経験した手痛い恋愛から学び、避けて通ることだってあるだろう。洸稀も昔の彼氏から「仕事をしているときは魅力的だけれど、普段は全然普通でおもしろくない」と言われたことを引きずり、踏み込んだ恋ができなくなっていた。だから洸稀は“おいしいとこどり”の恋を求めていたのだ。それは、自分の素を見せることなく、着飾った部分だけを見せ合っていたいということでもあった。

 向井くんは、そんな洸稀の価値観をそもそも本音とは受け取っていなかった。自分の考えに基づき「嫌だと思う行動をとられたら、『嫌だよ、やめて』と伝えたらよくない?」と優しく洸稀を諭す。向井くんと洸稀は価値観こそ違うものの、いつもしっかり向き合って話し合い、お互いの価値観を模索してきた。言葉にして徹底的に伝え合う2人は、実はいい関係になれるのではないか。それが友達としてか、恋人としてかは未知数だが、少なくとも向井くんは洸稀の鉄壁のシールドをくぐり抜け、一緒に朝食を食べるまでの関係になっているのだ。向井くん自身も、ダサいとか、かっこいいとか、守るとか、これまでぐるぐると渦巻いていたステレオタイプな男らしさを忘れて「坂井戸さんは面白い」と無邪気に話す。こうした肩肘張らない付き合いこそが、実際の人間関係では重要なのだろう。たとえそれが友情であっても、恋愛であってもだ。

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