『トリリオンゲーム』目黒蓮が見せる様々な表情に驚きを隠せない 心が揺れる瞬間が引き金に

 一体どれだけの顔を使い分けるのだろうか。金曜ドラマ『トリリオンゲーム』(TBS系)でハルを演じる目黒蓮のことだ。前回の第5話では「どこまで信じて良いのかわからない」と不安にさせる表情を浮かべたかと思いきや、第6話では「やっぱり信じてよかった」と言いたくなるような実に頼もしい眼差しを見せる。まさに、その一挙手一投足から目が離せない。

 今話のキーワードは「心が揺れる瞬間」だった。ドラゴンバンクの大ヒットゲーム『ドラゴン娘』を開発した天才クリエイターの蛇島(鈴木浩介)が、トリリオンゲーム社にまずは外部アドバイザーとしてやって来た。当初、移籍する条件として途方もない年俸額をふっかけてきた蛇島。その心理はどれだけ精魂込めてゲームを作ったところで儲かるのは会社だけで、クリエイターは組織の歯車にしかなっていないという不満があったためだ。

 その憂さを晴らすように、蛇島は会社のお金まで手をつけてしまったという。返金したとはいえドラゴンバンクとしてはその罪を見逃せない。かといって、彼の才能は手放したくない。そんな複雑な気持ちから蛇島を現場から外し、飼い殺し状態にしていた。だからこそ、蛇島はゲーム作りにより枯渇していたのだろう。刺激的な仲間と、ワクワクできる仕事に。

 最初こそ、いかにユーザーに課金させるかばかりを考える蛇島と、ゲームのクオリティをとことん追求したい桜(原嘉孝)の意見はぶつかった。しかし、その衝突さえも蛇島にとっては懐かしい感触だったという。意見交換が白熱するのも、双方が本気で取り組むからこそ。金儲け主義も、ハート最優先も、結局は道のりが違うだけで目指すところは同じ。多くの人が夢中になってプレイする面白いゲームを作るということ。その意識が一致した瞬間を見逃さず、「いいねぇ、最強タッグ完成!」と2人にガッチリと握手をさせたのは、他ならぬハルだ。もしかしたら、ハルこそ「心が揺れる瞬間」を作り出す天才なのかもしれない。

 「トリリオンゲーム社ごと潰す」とドラゴンバンク社長・黒龍(國村隼)から脅された蛇島は、心の通った仲間たちに迷惑をかけまいと、一旦はドラゴンバンクへと戻ることを決める。しかし、そんな蛇島のもとへハルはガク(佐野勇斗)と共に最後の説得に向かうのだった。「僕らと一緒に心が揺れる仕事を」と必死に訴えるガクと、その言葉を受けて「実現できます。俺らの会社なら」と力強く断言するハル。そのときの心を射抜くような視線に痺れた。こんなにもまっすぐに自分との未来を語りかけてくれる人からの誘いを断れる人などいないだろう。ユーザーが無料で遊べるはずのソーシャルゲームで課金したくなるのは、心が揺れた瞬間があるから。ひょっとしたら大損をするかもしれない。けれど、一度その未来を思い描いてしまったら、トライしたくてたまらなくなる。人はワクワクには抗うことなどできないのかもしれない。

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