『名探偵ポアロ』ケネス・ブラナーが語る アガサ・クリスティ作品が世界中で愛される理由

アガサ・クリスティの作品が心を掴む理由

 9月15日に公開される『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』で監督・主演を務めたケネス・ブラナーが、本作の原作者であるアガサ・クリスティが没後約50年経った今でも世界中で愛されている理由について語った。

 クリスティが生涯を通して書き続け、全世界で20億冊以上出版されている『名探偵ポアロ』シリーズ。中でも、クリスティの戯曲『ねずみとり』は、”世界で最も長い連続上演をした演劇”としても知られおり、日本でも幾度となくドラマ化・舞台化されてきた。そして、『名探偵コナン』の阿笠博士の名が“アガサ”に由来していたり、2010年から推理小説の新人賞としてアガサ・クリスティ賞が設立されたりと、今もなお各所で影響を与え続けている。

 アカデミー賞脚本賞の受賞や、5度のノミネート歴を持ち、“サー”の称号を持つシェイクスピア俳優としても敬愛されるブラナーは、クリスティの作品が長年人々を魅了し続ける理由について、「彼女は“人間性”というものを理解していた。彼女は世界に目を向けていて旅慣れており、様々な社会階級の人々やその人生を見てきて、多様性を取り入れて人間を深く理解するんだ。だから我々が認識できる人がたくさん出てくる。誰もが共感できるような叡智と人間的な感情と同情心と魂が描かれているんだよ」と分析。

 ブラナーが2017年に映像化した、1934年発表の『オリエント急行殺人事件』では、寝台列車で起きたラチェットという男の刺殺事件が描かれている。そして、その犯人は、過去にラチェットが起こした残虐な誘拐殺人で深い喪失感と悲しみ、そして復讐心を抱いた者たちだった。トリックだけでなく、無念な思いを抱えた犯人たちの心情は普遍的な感情で、現代人の心も掴む。映画『オリエント急行殺人事件』に出演した、『スター・ウォーズ』シリーズのレイ役で知られる1992年生まれのデイジー・リドリーも、「アガサの本を読んだのだけれど、彼女は素晴らしく、時代を先取りしていた。私が演じたキャラクターも時代の先端を行っていたの!」と語っている。

 シリーズ最新作『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』では、1969年に発表された『ハロウィーン・パーティ』を原作にしている。舞台をイギリスから第二次世界大戦後のハロウィーンを迎えたベネチアに移し、ブラナー演じる“世界一の名探偵”ポアロが、「死者の声を聞ける」という霊能者が開く降霊会で起きた殺人事件の謎に挑む。そして、彼の前に立ちはだかる降霊会の主催者であり霊能者のレイノルズ夫人役を『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したミシェル・ヨー演じている。

『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』ポスタービジュアル

■公開情報
『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』
9月15日(金)公開
出演:ケネス・ブラナー、ミシェル・ヨー、ティナ・フェイ、ジェイミー・ドーナンほか
監督:ケネス・ブラナー
脚本:マイケル・グリーン
製作:ケネス・ブラナー、リドリー・スコットほか
音楽:ヒドゥル・グドナドッティル
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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