福原遥×深田恭子『18/40』注目は回想シーン? プロデューサーに後半のポイントを聞く

 福原遥と深田恭子がダブル主演を務めるドラマ『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(TBS系)が第5話までの放送を終えた。第5話では有栖(福原遥)が出産を果たし、瞳子(深田恭子)と新たな“家族”になる模様が描かれた。第6話からの後半戦に向けて、韓哲プロデューサーに本作の制作経緯から見どころまで、話を聞いた。(編集部)

想像以上だったキャストたちの好演

――最初にこのドラマが生まれた背景や狙いを教えてください。

韓哲(以下、韓):まずは、年の差のある女性2人の物語を作りたかった。そして今、なぜこのドラマをやるのかを考えたときに、『18/40』が生まれるきっかけとなる2つの出来事がありました。一つは、18歳が成人になるタイミングであったこと。もう一つは、「女性活躍」「少子化問題」……女性の生き方について、世の中でいろいろな議論が起きていたことです。主人公は、法律上は大人になったけれど、都合よく子供扱いされ、時には大人扱いされる18歳という年齢にしようと。そして、その主人公が「もしも、自分が考えていないタイミングで妊娠したら」ということから物語を進めてみようと考えました。僕の周りを見ても、瞳子のような女性が少なからずいました。なので瞳子と同じような悩みを持つ方も多いのではと考えました。僕が仕事を始めた頃、ドラマの現場には圧倒的に男性が多かったけれど、20年ほど経った今、現場を見渡すととても女性が多くて、年齢が下がれば下がるほど、男性よりも女性の方が多くそれはとても良いことだと思います。一方で、そうした変化に合せて制度や環境が整っているとは到底思えなくて。ドラマは大きな社会課題を解決することはできません。状況は簡単に好転しませんが、この作品の登場人物を通して、見て下さった方がそれぞれの立場で「出産、育児、キャリア」などライフステージでの選択や悩みについて話しやすくなり、誰かの状況が好転することにつながったら、そんな思いを持って有栖と瞳子のストーリーを作り上げていきました。

――福原遥さん、深田恭子さんのキャスティングについて聞かせてください。

韓:福原さんは『舞いあがれ!』(NHK総合)の放送が始まるか始まらないかくらいのときにお声がけさせていただいきました。お芝居もそれ以外のお仕事でも、常に誠実な方だと思っていました。キャリアも長い方ですが、インタビューなどを見ても何事にも真摯でピュアな方だなと。有栖は本当に難しい役だと思いますが、脆さや弱さ、幼いが故に間違ってしまうこともあるが、強い信念の持ち主を、福原さんがその誠実なお芝居でリアルに演じてくださっていると思います。深田さんは、まさに彼女の年齢や今までのキャリアと重なる部分もある役柄です。今回は女性の生き方、キャリア、出産などをテーマにしていて、ともすればテレビドラマとして観るには重い内容だと受け取られる可能性があるなと思っていました。でも、深田さんに演じていただくことでドラマの世界が柔らかく華やかになり、いい意味で見やすくしてもらえていると感じます。

――鈴鹿央士さん、上杉柊平さん、八木勇征さんの起用理由もお願いします。

韓:鈴鹿さんとは一度お仕事をしたことがあって、現場での立ち振る舞いも含めて、素敵な青年だと思っていました。祐馬にはダンスのシーンもあって、今時の大学生風というか、今までの鈴鹿さんとは逆のイメージかもしれない。だからこそ、きっと新鮮な芝居になるだろうと、想像したらワクワクしました。鈴鹿さんも「自分の中で新しい挑戦になりそうな役です」とおっしゃってくださってうれしかったです。上杉さんは、鈴鹿くんとは対照的で、本当に加瀬のイメージそのもの。それに、音楽活動を通じた(ヒップホップグループ・KANDYTOWNのMCとして)パフォーマンスをしている姿からは、独特の魅力や表現力を持っている方だなと。深田さんとは初共演なので、視聴者の方にも新鮮な深田さんとのラブストーリーを楽しんでもらえるんじゃないかなと思ってお願いしました。八木さんは、何度かFANTASTICS from EXILE TRIBEのライブに行かせていただいたことがあるのですが、ステージを見て、すごく輝いてるなと。有栖に対してひどいことをしてしまった康介ですが、八木さんの魅力があれば、有栖が惹かれたもともとの康介の魅力が伝わり、これから重要な役になっていきますが、この先八木さんだったら視聴者に期待して待っていただけるのかなと思いました。

――ドラマを観ていると、安田顕さん演じる父・市郎と、有栖の距離感が絶妙だなと感じます。

韓:市郎役は、安田さんしか思いつきませんでした。安田さんに引き受けていただけるかどうかが僕にとって大きな境目だと思っていました。脚本の龍居さんも安田さんのイメージで本を書かれていたので、引き受けていただいたときは本当に嬉しかったです。「市郎をどういう人物にするか」といろいろ話し合いましたが、安田さんと市郎の年齢は同じですしお嬢さんもいらして、そうしたご自身と重なる部分も含めて直球で演じていただけたら間違いなく最高で唯一無二の市郎になると思っていました。実際の安田さんは、僕らが狙っていたことをはるかに超えるような、でも、本当に願っていた市郎を演じてくださって、何度もそのお芝居に感動しています。

――第3話で有栖が市郎に妊娠を打ち明けるシーンには、本当に惹き込まれました。

韓:龍居さんは、市郎に「堕ろせ」というセリフを言わせたくない。でも僕はあえて入れてくださいとお願いし、長く話し合いました。いくら自分の娘のことを思っていても、「堕ろせ」と親が子どもに命ずるような言葉を言わせるべきなのか議論になりました。本心はそんなことを思っていなくても、娘を愛するあまり心無い言葉を言ってしまうことがある、それが親子なんじゃないかと最終的にはあの言葉が残りました。観てくださった方は、さまざまな感情を持たれたと思いますが、安田さんと福原さんの素晴らしいお芝居に助けていただいたと思います。

――実際に撮影されてみて、いかがでしたか?

韓:すごく長い時間をかけて撮りました。やはり福原さん、安田さんは、そのシーンにかける気持ちがすごく強くて、福原さんがすべての力を出し切れるように、安田さんが撮影についていろいろと発言されていたのが印象的でした。ふだん、あまり俳優の方が撮り方について意見することはありませんが、福原さんがこのシーンをどう演じ切れるかをお考えになって、監督も含めて「こう撮ったほうがいいんじゃない?」というような提言もされていて、とてもありがたかったですね。安田さんも福原さんも、本当に素敵な芝居をしてくださったと思っています。

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