『らんまん』家計を預かる寿恵子の心強さ 万太郎が研究のために“費やしてきたこと”

 連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合)の第19週となる「ヤッコソウ」が放送された。園子の死、マキシモビッチ博士の死を乗り越え、自分一人でも研究を続けようとする万太郎(神木隆之介)は、やがて虎鉄(寺田心)との出会いで新種の植物を見つけることになる。一方の寿恵子(浜辺美波)は、田邊(要潤)と聡子(中田青渚)を揶揄するような卑劣な内容の新聞小説に気付く。

 これまでも多くの問題を乗り越えてきた万太郎と寿恵子。一時はどん底の状態であったが、また研究を続ける一筋の光を見つけた万太郎の目は輝いていた。だが、家計はそうはいかない。万太郎がどれだけ植物を愛し、どれだけ優秀な結果を残そうとも、実入りがない限り生活は苦しいままだ。峰屋の後ろ盾も失い、子育て中の寿恵子が内職に当てられる時間も限られているだろう。そんな中で今回は、これまで万太郎が研究のために“費やしてきたこと”について振り返っていきたい。

 万太郎の大きな買い物といえば、まずは1000円もする石版印刷機。植物図譜を刷るために再び大畑印刷所に通おうとした矢先、寿恵子が思い切って購入を決意したものだ。長屋の壁をぶち抜いて設置するなどして、寿恵子は結婚早々たくましい姿を見せてくれた。印刷をするには元となる絵を描く石板や良質の紙も大量に必要であったが、万太郎の夢のため、そして寿恵子自身もその挑戦に希望を抱き、2人はこの大きな買い物を決断。余談だが、この後万太郎は顕微鏡も新しく購入したのではないだろうか。それというのも第85話で万太郎が覗いていたものは、最初に使っていた鏡筒のついた金色のものとは色やデザインが変わっている。万太郎の研究への投資はセリフや物語で描かれていないところにまで表現されているということかもしれない。

 第19週では海外からたくさんの植物学に関する本を取り寄せていた。これは万太郎がヤッコソウを世界に発表するための大きな足掛かりとなるものだ。だが、それにもお金がかかっていることは事実。寿恵子は今までも金銭出納帳を前に算盤を弾いては頭を悩ませていたが、この本を購入することには「借りましょう! どうにかなります。いえ、どうにかします!」と背中を押す。寿恵子はいつだって万太郎を応援し、万太郎の研究の成果を誰よりも楽しみにしているのだ。

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