『らんまん』浜辺美波の心情表現が素晴らしい 万太郎と寿恵子が手にした“生きる意味”
名前は祈りだ。健作が“健”やかに育ったように、万太郎と寿恵子は園子が長い、長い人生の中でたくさんの草花に出会うと信じていた。園子も幼いながらに、植物に興味を持っていたように思える。だけど、園子は世界中の植物を載せた万太郎の図鑑の完成を待たずしてこの世を去った。「私が園ちゃんを月足らずで産んだせい」と自分を責める寿恵子。そんな彼女に万太郎がかけた言葉は、暗闇を照らす月明かりのようである。
「いつの日か、わしらも園ちゃんに会いに行く。その時に図鑑を持っていけるように、精いっぱい頑張るき」
園子を失った悲しみはきっとこれからも癒えることはない。けれど、それでも生きていく意味を万太郎と寿恵子はようやく見つけることができた。いつの日か再会した時、園子が喜んでくれるような図鑑を作る。万太郎とそう誓った瞬間、暗く沈んだ寿恵子の表情が少しだけ正気を取り戻した気がした。そして、万太郎が作ったカルメ焼きを一口食べた後はまだ完全ではないものの、いつもの寿恵子に。たった15分の中でそのグラデーションのような変化を浜辺美波が表情で見せてくれた。初夏の訪れ。ここから今週のタイトルであるヤッコソウが芽吹く実り多き秋へと万太郎たちは向かっていく。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK