『キングダム 運命の炎』吉沢亮&大沢たかおのカリスマ性を堪能! 再現度の高さに大興奮
一日千秋の思いで待ち望んだ、シリーズ3作目『キングダム 運命の炎』が絶賛上映中だ。なにしろ2作目の『キングダム2 遥かなる大地へ』は、主人公・信(山﨑賢人)が王騎将軍(大沢たかお)に弟子入りするシーンで終わる。ということは、3作目は王騎将軍による「地獄の特訓編」ということか。これは楽しみだ。筆者は、主人公が特訓を受けるシーンが大好きである。初期ジャッキー・チェン作品においても、あるいは『ロッキー』シリーズにおいても、いちばん気持ちが燃え上がるのは、ラスボスを倒すための特訓シーンである。その作品のメインテーマなんかをBGMとして流して、最高に魂が燃える特訓シーンを描けたら、その作品はもはや成功したようなものだ。
しかも鬼コーチ役は、あの王騎将軍である。これはもう、公開初日に観に行くしかないじゃないか。
そして筆者は、本当に公開初日に観に行った。果たして、特訓シーンに割かれた尺は、5分だった。ちゃっちゃとナレーションで済まされた。
一度は落胆した筆者だったが、宇多田ヒカルによるエンディングテーマが流れる頃には、すっかり興奮して鼻息が荒くなっていた。
今シリーズにおける2大カリスマである、嬴政(吉沢亮)と王騎将軍を十分に堪能することができたからだ。
まずは、嬴政を演じる吉沢亮から述べたい。
吉沢亮は、今いちばん“若き指導者”が似合う役者だ。嬴政だけではない。『東京リベンジャーズ』シリーズにおけるマイキーも、NHK大河ドラマ『青天を衝け』における渋沢栄一も、彼でなければ成立しなかった。
吉沢亮は、少女漫画からそのまま出て来たように美しいが、ただのイケメンではない。普通に爽やかにキラキラしてる時は、もちろんカッコいい。だが本当に彼の魅力が最大限に発揮されるのは、目に“暗さ”を宿している時だ。
『東リべ』におけるマイキーが、単に明るくて強いだけのキャラだったら、あれだけ魅力的には映らなかったはずだ。そもそも吉沢亮が演じる必要もない。
マイキーの生い立ちや、仲間に兄を殺されたという過去や、自らの“黒い衝動”などからくる“暗さ”があってこそ、生まれる深みがある。
それは、嬴政も同じだ。嬴政は幼少時、敵国・趙にて迫害されながら育った。その頃の回想シーンが前半の山場であり、吉沢亮の厭世観にまみれた暗い暗い眼差しを堪能できる。本来この時の嬴政は9歳なのだが、それを実年齢29歳の吉沢亮自身が演じている。一歩間違えれば“ネタ案件”なのだが、安易に子役に頼らず、本人が演じて大正解だった。決して子役を否定するわけではない。だが、あの厭世観も、長年の迫害により壊れてしまった感情も、そこからの王としての覚醒の始まりも、吉沢亮だから表現できたのだと思う。