『らんまん』研究に没頭する万太郎を献身的に支える寿恵子 聡子を尋ねようとした真意とは
連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合)の第17週となる「ムジナモ」が放送された。万太郎(神木隆之介)は池に落ちたことをきっかけに、日本でまだ発見されていない水草に出会う。その植物が花を持つことまでわかり、論文にまとめることに尽力していた。そんな中で寿恵子(浜辺美波)は、子育てに、金の工面にと苦労している様子。
子どもも生まれ幸せな日々がはじまるかと思われたが、万太郎は全く自分の生活を変えることはなかった。植物学研究という点ではこれまで以上に愛を燃やし、新たな発見を重ねるなど成果をあげ続けるが、生活の負担は全て寿恵子に重くのしかかる。聡子(中田青渚)を尋ねようとした寿恵子の様子を見ても、どこか一杯一杯になってしまっているのではないかと不安がよぎる。
というのも、万太郎は自分の夢中なことに突き進んでしまうところがある。植物を愛するあまりにのめり込み、結果として世界的に認められるほどの功績を残すことになるのだが、その性格は長所にも短所にもなる。万太郎が家族を大切に思う気持ちは伝わってくるものの、寿恵子がなにかと金の工面をしていたり、仕事をしやすいように園子を外に連れ出したりしていることにまでは思いが至らない様子。そんなときの万太郎は逃げているわけでも、向き合わないわけでもなく、まわりが「見えていない」のだ。
その性格は「ムジナモ」の論文に共著として田邊(要潤)の名前を入れなかったことにも通ずる。万太郎はどれだけ相手を大切に想い感謝をしていていても、どうもこうした“気遣い”が苦手なようだ。だからこそ、万太郎に気持ちをぶつけずに一人で頑張る寿恵子のことが心配になる。第二子を身ごもり、子育てをしながら家計をやりくりし、気軽に相談したり愚痴をこぼせる友人もいない。時には大切なものを質屋に入れて家計を支え、いよいよ金が心許ないとなって相談をしてみても踏み込んだ答えや解決策は返ってこない。そんなときでも寿恵子は万太郎にきつく当たることはしないのだ。こうした日々の中で、寿恵子はやっとの思いで聡子の家の前まできたのではないだろうか。