『ソウルに帰る』ダヴィ・シュー監督&主演パク・ジミン来日へ 著名人の推薦コメントも

 8月11日に公開される『ソウルに帰る』の監督を務めたダヴィ・シューと主演のパク・ジミンの来日が決定した。

 本作は、韓国で生まれ、フランスで養子縁組されて育った25歳のフレディが初めて母国に戻り、友人の力を借りて実の両親を探し始める物語。第75回カンヌ国際映画祭のある視点部門に出品された後、第43回ボストン映画批評家協会賞では前年に濱口竜介監督が『ドライブ・マイ・カー』で受賞した作品賞を受賞。世界に先駆け1月に一般公開されたフランスでは、公開2週目にして7万人以上を動員している。

 監督を務めたのは、カンボジアの首都プノンペンを舞台に青春群像を描いた初長編劇映画『ダイアモンド・アイランド』でカンヌ映画祭批評家週間のSACD賞を受賞した、カンボジア系フランス人のダヴィ・シュー。長編2本目となる本作の脚本は、友人の経験に着想を得たという。

 主人公のフレディを演じたのは、本作が映画初出演となったパク・ジミン。突如目の前に現れた娘と向き合うことになる父親役は、『オールド・ボーイ』『親切なクムジャさん』などパク・チャヌク監督作品の常連俳優として知られるオ・グァンロクが務めた。そのほか『愛の不時着』のキム・ソニョン、小説『砂漠が街に入り込んだ日』の作者のグカ・ハンらが出演している。

 今回来日が決まったダヴィ・シュー監督とパク・ジミンは、特別先行上映となる8月10日にトークイベントを、公開初日の8月11日には二度の舞台挨拶に参加する。

 さらに国内外の著名人から作品への推薦コメントも到着した。

コメント

クレール・ドゥニ(『ハイ・ライフ』監督)

パク・ジミンはカメラに抵抗していた。映画や人物や事件に身を捧げず、絶えず抜け出そうとする俳優を見た。

ルル・ワン(『フェアウェル』監督)

この映画のことが頭から離れない。時代を超えた作品。パク・ジミンの素晴らしさには度肝を抜かれた。

児玉美月(映画文筆家)

『ソウルに帰る』は今までどこにもなかったような、見たことのなかったような映画だったと深く爪痕を残してくる。それは映画の語りのみならず、フレディの人物造形がどこまでもユニークだったからだろう。「帰る場所」と思える場所がどこであったとしても、その場での、誰かとの一瞬の触れ合いの残響で人生は続く。

宮代大嗣(映画批評)

夜の街を突き進んでいく感覚がある。思いつきの旅をヒロインと共に歩んでいく特別な感覚がある。すべてを知りたいけど、なにも知りたくない。変わりたいけど、変わりたくない。優しくしたいのに、冷たくしてしまう。自分の中にある小さな、しかし譲れないプライドが矛盾を生む。陽気さの中に怒りを。傲慢さの中に抵抗を。ヒロインの矛盾する「旅」に感情の歩調が重なるとき、この映画は特別なものとなる。新たな時代の傑作!

西森路代(ライター)

主人公のフレディが初見で楽譜を見て演奏することのスリリングさについて語る場面がある。そのことが、人を求めてはみては突き放してみたりを繰り返す彼女と重なって、頭から離れない。

竹田ダニエル(ライター)

韓国とフランス、どっちが「本当の自分」なのか。「本当の愛」は、どこにあるのか。「強さ」を鎧のように纏い、韓国の歴史、欧米での養子システムを辿る。自分のルーツを知るまでは本心を見抜かれないよう、誰にも自分の人生を決めさせない。音楽の意味の持たされ方、カラーリングの変化、全てが人生という旅を彩る。

年森瑛(小説家)

異邦人であるフレディと現地の人々の会話から土地の風土を描きつつ、その地に骨を埋めるであろう人が言外に”匂わさない”ことで、空気の生ぬるさを感じさせる

清原惟(映画監督)

ファートスシーンから惹き込まれ、フレディの旅についていこうと決めた。「わたし」はどこからやってきたのか。生まれた国を異邦人として旅する彼女の、力強さとチャーミングさ、そしてその弱さに、気がつくとわたしの目はずっと釘づけにされていた。

小川あん(俳優)

「あんたなんか一瞬で消える 私の人生から一瞬で消せる」鋭利なまなざしとこの強烈な一言が、全てのルーツを脅かし、その言葉の意味すらも覆い被せる。フレディとユニ。2つの名を持つ彼女は、「雑踏」「地位」「自然」「静寂」を巡りながら自身を開拓し、いつの日か居心地の良い場所に根を張るのだ。

原正人(フランス語翻訳)

韓国を去り、母語の韓国語を手放して、外国語であるフランス語で書くことを選んだ『砂漠が街に入りこんだ日』の小説家グカ・ハンが、俳優として演技する姿を目にする日が来ようとは。韓国で生まれたにもかかわらず、国際養子に出されフランスで生まれ育ったために、韓国語を一切解さない主人公を手助けする通訳として、彼女はその心もとなげな、今にも消え入りそうな声で、独特の存在感を発揮している。通訳や翻訳が本質的に優しさや思いやりに基づいていること、だからこそ時に小さな嘘も辞さない、不誠実な行為になりえることをほのめかす前半部分は、通訳・翻訳論としても秀逸。言葉や文化、さらにはそれらに縛られざるをえない人間について鋭い洞察が散見されるだけに、後半、物語が思ってもみなかった方向に転がり出してあっけにとられた。見ているものの安易な予想を軽々と飛び越えていく快作。

■イベント情報
・8月10日(木)時間未定(夜の回)Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下
特別先行上映、トーク
・8月11日(金)時間未定(午後の回)Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下
上映、上映後舞台挨拶
・8月11日(金)時間未定(夜の回)Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下
上映前舞台挨拶、上映

■公開情報
『ソウルに帰る』
8月11日(金)より、 Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほかにて全国順次公開
監督・脚本:ダヴィ・シュー
撮影:トーマス・ファヴェル
編集:ドゥニア・シチョフ
出演:パク・ジミン、オ・グァンロク、キム・ソニョン、グカ・ハン、ヨアン・ジマー、ルイ=ド・ドゥ・ランクザンほか
後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本
配給:イーニッド・フィルム
2022年/フランス、ドイツ、ベルギー、カンボジア、カタール/119分/1:1.85/カラー/字幕翻訳:橋本裕充/原題:All The People Iʼll Never Be
©AURORA FILMS/VANDERTASTIC/FRAKAS PRODUCRIONS/2022
公式サイト:https://enidfilms.jp/returntoseoul
公式Twitter:https://twitter.com/returntoseouljp

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