『らんまん』志尊淳と佐久間由衣が久々に登場! 万太郎を取り巻く不穏な空気も

 万太郎と寿恵子もまた、先の見えない植物学、そして子育てという未来に眼差しを向ける者たちだ。夜泣きをする園子を、寿恵子の代わりにあやす万太郎。「母親なのに、この子がなんて言っているのか(わからない)」と、不安をこぼす寿恵子はつわりの時の描写から引き続き、母親になりたての女性の代弁者としてしっかりとした輪郭を持っている。その繊細な演技が本作の素晴らしさとも言えるが、万太郎も万太郎で植物画を描く作業をやめて、寿恵子の代わりに園子をあやす様子が頼もしい。

 しかし、彼の視線の先には中断されてしまった植物画が。“このまま、こんなふうに子育てに追われて研究や発表が疎かになってしまうのではないか”、そんな一抹の不安を抱えたように思える表情が印象的だった。しかし、自分に言い聞かせるようにますます頑張ろうと気合を入れる万太郎。8カ月の時が過ぎ、少し安定してきたころに『日本植物誌図譜 第三集』に着手していた。

 今回は、先週の週タイトルでもあった「コオロギラン」が見どころだと、手伝ってくれる倉木(大東駿介)と福治(池田鉄洋)に説明する。ランの種類が1万種以上あることを話す様子、そしてゆう(山谷花純)に頼まれた引越しで一人手伝いもせずに池を見つけ採集をしようと走りまわる様子を、神木隆之介が心底楽しそうに演じる。そんな彼に、同行していた3人も思わず笑みを漏らす。しかし、福治だけは「いいことがあったぶん、よくねえことも起きる」と不穏な言葉を残した。彼の勘が正しくないことを、今だけは信じたいと思ってしまう。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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