クリスティアン・ムンジウ監督最新作『R.M.N.』10月14日公開 邦題は『ヨーロッパ新世紀』
クリスティアン・ムンジウ監督最新作『R.M.N.』が、『ヨーロッパ新世紀』の邦題で10月14日に公開されることが決定した。
本作は、ルーマニア中部トランシルヴァニア地方の小さな村を舞台にした群像劇。村で起こったささいな対立が深刻な紛争へと発展していくさまを描きながら、幾多の火種を抱えたヨーロッパ、そして分断された世界の危うい現状をあぶり出した社会派サスペンスとなっている。
出稼ぎ先のドイツで暴力沙汰を起こしたマティアスが、トランシルヴァニアの村に戻ってくる。しかし、妻との関係は冷めきっており、森でのある事をきっかけに口がきけなくなった息子、衰弱した父への接し方にも迷う彼は、元恋人のシーラに心の安らぎを求める。ところがシーラが責任者を務める地元の工場が、アジアからの外国人労働者を迎え入れたことをきっかけに、よそ者を異端視した村人たちとの間に不穏な空気が流れ出す……。
第60回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した『4ヶ月、3週と2日』に続き、『汚れなき祈り』で第65回カンヌ国際映画祭女優賞と脚本賞を受賞、『エリザのために』で第69回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞したムンジウが監督を務めた。なお本作は、第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品されたほか、第35回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門にて、『R.M.N.』のタイトルで上映された。
舞台となるトランシルヴァニア地方は、ブラム・ストーカーの古典的な恐怖小説「吸血鬼ドラキュラ」の舞台になっており、カルパチア山脈に囲まれたこの地方は、古くからの伝統行事が受け継がれ、ヨーロッパ有数の野生動物の生息地でもある。そうしたトランシルヴァニア特有の風土をあますところなくカメラに収めた本作は、ルーマニア語、ハンガリー語、ドイツ語、英語、フランス語のセリフが飛び交う多民族の村の複雑怪奇な人間模様を映し出している。さらに、村の住民が一堂に会する集会所でのクライマックスでは、17分間にもおよぶ固定カメラの長回しショットで撮影された。
あわせて公開された日本版ポスタービジュアルには、マティアスの息子が森で得体の知れない何かを目撃するシーンが大きく切り取られており、原題『R.M.N.』のタイトルの中に、本作に登場するキャラクターたちの姿が組み込まれている。そして、「人間を俯瞰する山、潜む動物…。その森で、少年は何を見てしまったのか?」「それは退化か、進化か、それとも破壊の予兆か―」というキャッチコピーが配置されている。
■公開情報
『ヨーロッパ新世紀』
10月14日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開
監督:脚本:クリスティアン・ムンジウ
出演:マリン・グリゴーレ、エディット・スターテ、マクリーナ・バルラデアヌほか
配給:活弁シネマ倶楽部/インターフィルム
後援:在日ルーマニア大使館
原題:R.M.N./2022年/ルーマニア・フランス・ベルギー/カラー/シネスコ/127分/5.1ch/日本語字幕:関美冬/映倫:G区分
©Mobra Films-Why Not Productions-FilmGate Films-Film I Vest-France 3 Cinema 2022
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