『仮面ライダー』はいまもまったく色褪せない! 4Kリマスター版の美しさを堪能せよ
顕著なのが第2話「恐怖蝙蝠男」で、後半の本郷と蝙蝠男が対峙する室内や、その後の仮面ライダーと蝙蝠男の夜間の戦いは、既発のソフトやHDのテレビ放送版よりも観やすい。第1話「怪奇蜘蛛男」にしても、自分の握力に驚く本郷と緑川博士の会話部分は光源のない薄暗い部屋にもかかわらず、俳優陣の肌色の良さが感じ取れる映像になっている。ロケ地の遥か遠方に見える山や建物など背景も、白飛びせずにはっきり確認できる。
番組初期に、自ら変身後のスーツアクションも担当していた藤岡弘、の健闘ぶりは有名だが、前述の70年代変身ブームの勢いに本作を上手く乗せたのは、仮面ライダー2号・一文字隼人を演じた佐々木剛であろう。軽口を叩く陽性のキャラ付けとヒーロー性の強い一文字は、子供が真似しやすい「変身ポーズ」を取って仮面ライダー2号に変身する。歌手の山本リンダをはじめ女性レギュラーを多く投入し、地方ロケや2週にわたる前後編エピソードで視聴者を惹きつけて、『仮面ライダー』を高視聴率の人気番組に押し上げた。その仮面ライダー2号の初陣を飾る第14話~15話の怪人サボテグロン戦は、4Kリマスターによってサボテンの発色や造成地の土の色など、今までのテレビ放送、映像ソフトに比べ、キツめではないナチュラルな色合いになっている。放送2年目以降は怪人のデザインにカラフルな配色が目立ち始め、特に2種類の生物を合成したゲルショッカー怪人は、着ぐるみの質感や色使いに、フィルムが持つポテンシャルの高さを実感できるはずだ。
1980年代のビデオカセット、1990年代のレーザーディスク、2000年代のDVD、2010年代のBlu-rayと、約10年ごとの間隔で映像ソフト化を果たし、その都度ニューマスター高画質を謳っていた『仮面ライダー』。今回の4Kリマスター版はテレビCMで言及しているように、最後のパッケージ化になるやもしれない。それだけ送り手側にも強い自信があるのだろう。等身大のヒーローが繰り広げるスピーディなアクション、迫力のオートバイ戦、魅力的な怪人たちと敵組織の幹部、主題歌・挿入歌の格好良さ。現在ほどキャラクター商品のマーチャンダイジングが一般的でなかった時代、スナック菓子のおまけカードと、小さなソフトビニール人形を手に、当時の子どもたちがどれほどこのヒーローに熱狂したことか。
生誕50周年を迎え、主人公たちを演じた俳優も健在で、なおかつ高画質で再び楽しめるとは何と素晴らしい。当時からのファンも、この機会に新たに触れるファンにも、4Kの美しさで『仮面ライダー』を堪能していただきたい。
■放送情報
『仮面ライダー 4Kリマスター版』
東映チャンネルにて、8月7日(月)スタート 毎週月曜18:00〜19:00放送
※毎週金曜7:00〜8:00再放送
出演:藤岡弘、佐々木剛、小林昭二、中江真司(ナレーション)
監督:竹本弘一ほか
脚本:伊上勝ほか
製作年:1971
©石森プロ・東映
公式サイト:https://www.toeich.jp/program/1TT000004907/202308
■リリース情報
『仮面ライダー 4KリマスターBOX 1(4K ULTRA HD Blu-ray & Blu-ray Disc 8枚組)[Blu-ray]』
8月2日(水)発売
●初回特典
◆ブックレット(12P)
※初回特典は限定生産品。在庫がなくなり次第、通常の仕様での販売となる。
●その他特典
◆菅原芳人描き下ろしジャケット
●映像特典
Blu-ray Disc1
◆4KリマスターBOX CM
USTD20761/40,000円+税/COLOR/本編646分
<ULTRA HD Blu-ray>2層4枚
<Blu-ray>2層4枚
<ULTRA HD Blu-ray>1.リニアPCM(モノラル)
<Blu-ray>1.リニアPCM(モノラル)
<ULTRA HD Blu-ray>4:3【2160p Ultra Hi-Def】
<Blu-ray>4:3【1080p Hi-Def】/26話収録
※本編収録のBlu-ray DISCには、4Kリマスター素材から2Kダウンコンバートしたものを収録
<収録話>
disc1:#1‐7
disc2:#8‐13
disc3:#14‐19
disc4:#20‐26
出演:藤岡弘、佐々木剛、千葉治郎、小林昭二ほか
原作:石ノ森章太郎
企画:平山亨、阿部征司
脚本:伊上勝、市川森一、島田真之、滝沢真里、山崎久、長石多可男、塚田正熙
監督:竹本弘一、折田至、北村秀敏、山田稔
音楽:菊池俊輔
技斗:高橋一俊
殺陣:大野剣友会
放送期間:1971年4月~1973年2月毎日放送・NET系列にて放送
販売元:東映株式会社
発売元:東映ビデオ株式会社
©石森プロ・東映