『仮面ライダー』はいまもまったく色褪せない! 4Kリマスター版の美しさを堪能せよ

 既に誕生から半世紀を過ぎ、今なお日本特撮史に輝き続ける東映の特撮ヒーロー番組『仮面ライダー』。その昭和から令和までの歴史を辿る大型イベント『THE仮面ライダー展』は、2022年の名古屋会場を皮切りに全国を巡回中だ。

 『仮面ライダー』シリーズ50周年のアニバーサリー映画『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』(2021年)に、藤岡弘、が本郷猛役で出演、同年公開の映画『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』で藤岡の実子、藤岡真威人が本郷役を演じて仮面ライダー1号に変身するなど、近年でも話題に事欠かない。

 リアルタイム世代はもちろんのこと、途中から見始めた『仮面ライダー』ファンにとっても、広大なシリーズの原点となる仮面ライダー1号と2号は特別な存在ではなかろうか。その『仮面ライダー』の4Kリマスター版がこの度、UHDソフトで発売、東映チャンネルでテレビ放送される。16mmオリジナルネガフィルムをスキャンし、フィルム上の小さなゴミや傷を丁寧に消す(パラ消しと呼ばれる)作業を行った最高画質の映像で、今までテレビ放送されていたマスター素材との違いが一目瞭然な美しい発色となっている。

 『仮面ライダー』映像ソフトの歴史を紐解けば、ビデオ黎明期の1980年代前半に収録時間25分で定価9,800円というミリオンセラー・シリーズのラインナップとして、第98話(最終回)を商品化したのが始まりだ。やがて家庭用ビデオの普及に合わせてテレビシリーズを順次ビデオソフト化。収録順がバラバラな傑作選の体裁でスタートしたが、ビデオ26巻を使って全98話が商品化された。次に1990年代に入って間もなく、25枚組のレーザーディスクに全話を収録した『仮面ライダー パーフェクトコレクション』が発売され、148,000円という高額商品ながら3000セットが完売。2000年代は映像ソフトの主流がDVDに代わり、『仮面ライダー 1号2号BOX』が発売。ニュープリント・コンポーネントマスターの17枚組で98,000円だったが、後に単品でもリリースされている。2010年代に発売された全4巻のBlu-ray BOXは、DVDの倍の情報量を持つ1080pの解像度と高画質で往年のファンを喜ばせた。そして2023年の4KリマスターUHDの全話パッケージ化。こうして振り返ると、まさに時代の節目ごと、ソフトメディアの移り変わりとともに、『仮面ライダー』の映像はグレードアップを重ねて世に送り出されたのが分かる。

 変身ブームと呼ばれる1970年代の社会現象を牽引した本作が、当時の視聴者層にして現在50~60代のクリエイターたちに与えた影響は絶大なものがあり、ヒットメーカー庵野秀明もそのひとり。

 『仮面ライダー』は番組開始時に、“怪奇アクションの決定版”とアピールされ、怪人の見せ方や殺された人間が溶ける演出、BGMの選曲など恐怖色の濃い作品だった。それゆえ初期は怪奇ムードを煽る暗い画面が多いのだが、4Kリマスターによって暗がりの見えにくさもグッと良くなっている。

関連記事