『シッコウ!!』に込められた脚本・大森美香のメッセージ 伊藤沙莉と織田裕二の“お家芸”も?
もちろんそれはアーニャ(『SPY×FAMILY』)のような超能力ではなく、ひかりの想像。ムスッとした表情の小原にあわせて流れるナレーションから、実際にその声が漏れるというオチはベタだが思わず笑ってしまった(伊藤沙莉のナレーションとしては『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ・フジテレビ系)があるが、聞き比べてみると当たり前だが全く違う)。これがひかりと小原のお家芸になっていくのかにも注目だ。
また、この第2話で決めゼリフとして定着していくであろうフレーズがいくつか絞られた。それは小原の「ガッデム!」「ケースクローズド」、さらに栗橋がベルを鳴らしてからの「無事の落着を!」。後者においては第2話だけで2度も出てきている。犬に怯えひかりの後ろに隠れたり、お決まりのぎっくり腰になったりと、相変わらず冴えない印象の小原だが、視聴期限の迫るドラマを観ないといけないひかりに言い放った「ドラマはオンエアで観ろ」は脚本を務める大森美香のメッセージのこもったメタ的発言のようにも感じられる(きっと冗談混じり)。
第2話までで執行相手側のエピソードは、どこかハートウォーミングな演出で感動的な幕の閉じ方がされているが、厳しい見方をすればどちらも自分自身に明らかな落ち度がある。まともな人間であれば、そもそも執行人はやってこないのだ。第3話でひかりと小原が担当するのは、負債を抱えたゴミ屋敷。そこに大森の「令和の今を切り取る作品」という思いが滲んでいるような気がしている。
■放送情報
『シッコウ!!~犬と私と執行官~』
テレビ朝日系にて、毎週火曜21:00~21:54放送
出演:伊藤沙莉、中島健人(Sexy Zone)、織田裕二、笠松将、ファーストサマーウイカ、六角精児、菅原大吉、駒井蓮、モロ師岡、宮崎美子、渡辺いっけい、勝村政信
脚本:大森美香
音楽:得田真裕
ゼネラルプロデューサー) 横地郁英(テレビ朝日)
プロデューサー) 川島誠史(テレビ朝日)、菊池誠(アズバーズ)
演出:田村直己(テレビ朝日)、星野和成、高橋貴司
原案:小川潤平『執行官物語』
制作協力:アズバーズ
制作著作:テレビ朝日
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