『シークレット・インベージョン』をネタバレありで考察 注目すべき4人のキャラクター

 こんにちは、杉山すぴ豊です。ここ最近のマーベル、DCのアメコミヒーロー映画まわりのニュースや気になった噂をセレクト、解説付きでお届けします!

 今日は第3話まで配信されたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)最新作『シークレット・インベージョン』についての考察です。ネタバレありなので、第3話までご覧になってからお読みください。

MCUでニック・フューリーが初の主役!

 『シークレット・インベージョン』は、MCU×ディズニープラスによる最新のドラマシリーズです。ということはMCUとしても最新作となります。シークレット・インベージョン=“密かな侵略”というタイトルが示すとおり、とあるエイリアンが人知れず地球侵略計画を始めている(いや始めていた)というストーリー。このエイリアン種族の名はスクラル人。もともとコミックでは“ファンタスティック・フォー”というヒーローチームのヴィランとしてデビューしましたが、マーベルの中でも有名なエイリアンとなりました。彼らは緑色の肌ととがった耳を持ついかにも宇宙人的なルックスですが自由に姿を変えて他人そっくりに化けることができる。こういうタイプの生命体をシェイプシフター(シェイプ=姿・形、シフター=状態を移行させる者)といいます。スクラル人がやっかいなのは自分の仲間そっくりに変身して忍び寄ってくるところです。

 2008年にはこのスクラル人の脅威を描いた、ドラマと同名の『シークレット・インベージョン』というコミックが発表され話題を呼びました。コミックではスクラル人たちがヒーローに化けて潜入しており、「どのヒーローを信じていいかわからない!」というサスペンスでした。このドラマはそのタイトルとスクラル人が変身能力を使って密かに地球侵略を始めているというプロットだけを使って、MCUオリジナルのSFサスペンスに仕上げています。

 このドラマが異色なのは、いわゆるMCUヒーローが出てこないことです。繰り返しになりますが、コミック版ではヒーローたちにスクラル人が化けているわけで、ヒーローがたくさん絡んでくるお話です。しかし、このドラマ版ではサミュエル・L・ジャクソン演じるニック・フューリーがヒーローたちの力を借りず(その理由は後述)、自分だけでこの侵略をくい止めようとします。したがって本ドラマの主役はニック・フューリーであり、MCU15年目にして初めてニック・フューリー単独の物語が語られるのです。本作はSFですが、スクラル人が地球の政府の要人に化けて様々なテロを起こす。それをニック・フューリーが追う。誰が敵で味方かわからないという状況の中でスパイVSテロリストの戦いが描かれるので、ヒーローものというより、緊張感漂うサスペンスアクションとしての趣があります。

発端は『キャプテン・マーベル』

 このドラマはまず2019年の映画『キャプテン・マーベル』での出来事が発端になっています。映画ではキャプテン・マーベルことキャロル・ダンバース(ブリー・ラーソン)と若き日のニック・フューリーがスクラル人を助けます。故郷を追われた彼らに新天地を与えると約束するわけです。この時、ニック・フューリーはスクラル人の将軍タロス(ベン・メンデルソーン)と友情で結ばれます。

 そして2019年の映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』において、実は地球にいるニック・フューリーはある時点からタロスが化けていた偽物であり、本物のニック・フューリーはスクラル人らと共に宇宙ステーションにいた(いる)ことが判明するのです。

 さらに、ドラマ『ワンダヴィジョン』の最終話においてスーパーパワーを身に付けたモニカ(テヨナ・パリス)がスクラル人のエージェントに導かれ宇宙へ行くことがわかる。これはフューリーのところへ行くということでしょう。

 この3作とドラマ『シークレット・インベージョン』で語られたことを総合するとこういう話になります。

  • ニック・フューリーはスクラル人が新たなる故郷となる新天地を見つけるまでの間、何人かのスクラル人たちを密かに地球に住まわせていた。そして自身の諜報活動に彼らを協力させていた。
  • さらにフューリーはスクラル人と結婚!? プリシラ・フューリー(シャーレイン・ウッダード)というのですが、彼女はスクラル人の女性で本名はヴァーラ。プリシラもその能力を使ってフューリーの諜報活動を手伝っていました。1998年にはドレイコフ(『ブラック・ウィドウ』に登場した、あのドレイコフです)の手下を追い詰めるというミッションをやっていたことも明かされます。
  • しかしながらスクラル人の中にはフューリーが自分たちを利用するだけで、新たな故郷を見つけるという約束を果たしてくれない、と思う不満分子も出てきた。
  • こうした中、最悪のタイミングだったのが例のサノスの指パッチンでフューリーが消えてしまったこと。フューリーという重しがなくなったから、地球にいるスクラル人たちの統制がとれないし、その間にも宇宙の難民となっていたほかのスクラル人もどんどん地球へとやってきた。地球に潜伏しているスクラル人の数は100万人にもなった。
  • しかもフューリーは指パッチンから戻ってきたものの、今度はなぜか地球をほったらかし(?)にして宇宙での任務にずっと就いていた。
  • フューリーの求心力が下がったいま、不満分子の代表格であるグラヴィク(キングズリー・ベン=アディル)はタロスを蹴落としてスクラル人過激派のリーダーとなった。彼の計画は地球の要人になりすましたスクラル人たちを使って世界大戦を起こし人類を全滅させ、この地球をスクラル人の新たな故郷にするというものだった。そしてタロスの娘ガイア(エミリア・クラーク)もグラヴィクのもとへ。
  • こうした状況を知り、フューリーは宇宙から戻ってきます。フューリーはタロス及び昔のスパイ仲間と共にこの計画を止めるため活躍します。
  • 一方、グラヴィクは外見だけでなく超人たちの能力までコピーして身に付けることのできるスーパースクラル人計画を進めている。

という流れになります。

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