『unknown』はただの“考察ドラマ”ではなかった 最終回後も残り続ける町田啓太の言葉

 第2の「unknown」は、大切な人の心の中にある「秘密(unknown)」である。例えば、源治(酒向芳)が語った背景から推測する他ない、虎松の父・彪牙(井浦新)の起こした20年前の事件の本当の動機や、完全に理解の範疇を越えている加賀美の犯行である。その「いい人だったはず」の人々の心の奥の深い闇の部分を前に、登場人物並びに視聴者はただただ言葉を失う他ない。彪牙の虎松への祝福の言葉や、加賀美の計画を狂わせた、こころを殺そうとした時の一瞬の躊躇いといった、ほんの一握りの真実だけを頼りに、彼ら彼女ら、及び私たち視聴者は「ない答えを探しながら生きていかなきゃいけない」のである。「本当のことなんて誰にもわからない」のだから。

 その時、こころのことを「全部知って愛している」と言った虎松に対し「ほんとに全部知ってますか? 知った気になってるだけじゃないですか?」と問いかけた第9話の加賀美の言葉を思い出す。人は人のことを、全て理解することはできない。ふとした拍子に、ずっと一緒にいた人の全く知らない一面を見てしまうこともある。そのことはいつも、人を不安にさせる。

 それでも隣にいる人を愛し、信じること。「長い間かけて、お互いのことゆっくり知っていく」こと。いよいよわからなくなれば、話し合えばいいということ。「愛してる」と言い合う最後の場面の虎松とこころの強さを各々が持つことができさえすれば、世界はもっと、優しくなれるはずだ。

■配信情報
『unknown』
TVer、TELASAにて配信中
出演:高畑充希、田中圭、町田啓太、麻生久美子、吉田鋼太郎ほか
脚本:徳尾浩司
監督:瑠東東一郎、金井紘
音楽:河野伸
ゼネラルプロデューサー:大江達樹(テレビ朝日)
プロデューサー:貴島彩理(テレビ朝日)、岡美鶴(アズバーズ)
制作協力:アズバーズ
制作著作:テレビ朝日
©テレビ朝日

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