『クイーン・シャーロット』『ヴァレリア』など　年齢や時代を超えるNetflix恋愛ドラマ3選

　「愛とは何か」という根本的な問いに直面したことのある人も多いのではないだろうか。簡単なようで奥が深いこの問題に、数々の主人公たちも頭を悩ませ、行動し、自ら答えを見つけてきた。春になって新たなシーズンの配信が始まったドラマを元に、彼女たちの経験を追体験して、自分なりの答えを探してみるのもいいだろう。

女王の過去を深掘り！　『ブリジャートン家』前日譚『クイーン・シャーロット』

　Netflixドラマシリーズ『ブリジャートン家』の前日譚である『クイーン・シャーロット ～ブリジャートン家外伝～』は、忘れかけていた自分の淡い恋心を思い出させてくれる物語。『ブリジャートン家』では、その名の通り19世紀初頭を生きるブリジャートン家の子供たちの恋愛を描いており、シーズン1では長女のダフネ（フィービー・ディネヴァー）、シーズン2では長男のアンソニー（ジョナサン・ベイリー）とそれぞれ主人公が変わり、官能的な恋愛模様を映し出してきた。その時代のイギリスを統治していたのは、ジョージ国王（コーリー・ミルクリースト）とその妻シャーロット王妃（インディア・リア・アマルテイフィオ／ゴルダ・ロシュ―ベル）。しかし『ブリジャートン家』にはジョージはほとんど出てこず、病んでいるような描写のみが登場していた。

　本作では、そんな2人の過去の恋愛を遡る。ドイツの名家に生まれたシャーロットは、兄に連れられ、イギリス王室との婚約をする運命を迎えていた。最初はイヤイヤながらも、ジョージの王様らしくない人柄に心が動いたシャーロットは、ジョージを愛そうと決意するが、ジョージにはシャーロットの知らない面が隠れていたのだった……。

　精神的な病を患うジョージは、当時の医者たちが編み出した治療アプローチに挑戦することになるが、なんとも痛々しい。しかし、それほどにシャーロットのことを想い、治そうと努力している姿には力強い愛を感じることができる。また、シャーロットもそんなジョージを受け入れ、抱きしめていた。自分の知らないジョージになってしまおうと関係ない、という2人の強い愛と決意が心を熱くさせた。さらに本作では、『ブリジャートン家』とはまた違った、王家ならではのしがらみやプレッシャー、そして友情も映し出されている。

　『ブリジャートン家』の時代を現代とすると、シャーロットの過去と現在を行き来するようなシナリオになっている。夫を亡くし、ブリジャートン一家を支える母親・バイオレット（ルース・ジャメル）とダンベリー夫人（アッジョア・アンド―）との複雑な友情関係の起源も映し出され、恋愛だけでなく女性たちの関わりの歴史も刻まれている。2人が過去に愛した男性たちに想いを馳せる場面も印象的に描かれており、シャーロットだけでなく3人それぞれの“愛”の形を感じることができる。