『らんまん』浜辺美波を導く「心のままに」 多くの人に影響を与え続ける万太郎の生き様

 『らんまん』(NHK総合)第53話で、万太郎(神木隆之介)の植物学雑誌作りは佳境を迎える。万太郎が植物画の下書きを一心不乱に書くのを見て、波多野(前原滉)は「僕……万さん見てたら怖くなっちゃって」と言った。万太郎は植物画を描くとき、自分と植物だけの世界に入ってしまう。そんな万太郎と出会い、波多野の人生観が変わったようだ。

「(人生って)たくさんのものが入る器なんだなって思えて。その器をパンパンにしていくことが生きるってことなのかなって」

 “器”の充実した万太郎に対して、藤丸(前原瑞樹)は「何でも入れられる器なのに、俺らスカスカだよな」と呟く。万太郎の生き方に圧倒され、波多野は「もし、生き切れないまま死んじゃったら……」と不安を覚えていたのだ。波多野を演じている前原滉の佇まいや言葉の端々から、万太郎のような生き方に憧れながらも、夢中になって打ち込めるものが見つからないことへの焦りが強く感じられた。

 そんな波多野に、丈之助(山脇辰哉)が飄々とした声色で「そんなのさぁ、今から見つけたらいいじゃない」と言う。万太郎と出会い、シェイクスピアの全作品を翻訳する目標ができたと話す丈之助の存在もまた、将来への不安を抱える波多野と藤丸に影響を与えそうだ。

『らんまん』前原滉&前原瑞樹の“ダブル前原”がアツい 万太郎と同じ道を志す生涯の友に

「朝ドラ」こと朝の連続テレビ小説というものは、やはりその物語を牽引するのに相応しい魅力に溢れた俳優が主演を務めるものだ。放送中の…

 万太郎と竹雄(志尊淳)が出来上がった下書きを「まあまあじゃな」「まあまあですね」と評価するのを見て、唖然とする波多野と藤丸の表情は面白かった。波多野と藤丸はまだ、自分の一生をパンパンにできる何かには出会えていない。けれど、講師の大窪(今野浩喜)や先輩たちから原稿を受け取る2人の表情はイキイキとしていた。植物学雑誌の創刊が2人の生き様に火をつけたのは確かだ。

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