『良くも、悪くも、だって母親』イ・ドヒョンが“千の顔”を見せる 熱いキスで有終の美

 Netflixで配信中の『良くも、悪くも、だって母親』が6月8日に最終回を迎え、Netflixの「今日のTV番組TOP10」で1位を獲得、有終の美を飾って終幕した。

 本作は、イ・ドヒョン演じる、優秀で頭脳明晰な検事チェ・ガンホが、記憶を失くした7歳児と検事を行き来しながら事件を解決し、ラ・ミラン演じる母親チン・ヨンスンとの親子愛を見せるヒーリングコメディだ。

 物語は、ガンホが生まれる前から始まり、ヨンスンが「悪い母」にならざるをえなかった境遇が明かされる。そして、生まれたガンホは、ヨンスンの厳しい教育により優秀な検事となるも、陰謀により事故に遭って記憶を失くしてしまう。7歳児に戻ったガンホに、母ヨンスンは、時に厳しく接しながらも、ガンホと二人三脚で記憶を取り戻していく。亡き父を巡る陰謀を暴き、母との絆も取り戻してゆくガンホ。全14話の中に、サスペンス、復讐、ヒューマンドラマ、ロマンス、コメディとたくさんの要素が盛り込まれている。

 クライマックスを迎えた第13話、第14話は、記憶を取り戻したガンホが悪を懲らしめるサイダー展開となった。ガンホは、自身が容疑者となっているファン・スヒョン(キ・ウンセ)の死が、オ・テス(チョン・ウンイン)の追っ手に追い込まれた末の自殺であったと知る。一方、ガンホを取り巻く陰謀を暴くために、ガンホの恋人イ・ミジュ(アン・ウンジン)と、幼なじみのパン・サムシク(ユ・インス)は、テスの娘ハヨン(ホン・ビラ)を隔離されていた病院から救い出す。ガンホは、ミジュとサムシクが、自分のために危険を冒そうとしていることを知り、慌てて病院へ駆けつける。

 ここからの、ガンホとミジュの会話と熱いキスの展開は胸キュン必至。ミジュを心配するガンホは、ミジュの安全を知り安堵する。そしてミジュのおでこに優しくキス! これまでミジュとガンホのキスは、ガンホが記憶を失くしていた頃に、ミジュが気持ちを抑えきれなくなり、半ば強引にキスをした、その一回だけだった。記憶を取り戻してから初めてのキスなのに、まさかのおでこキスとは……! ここで、全視聴者の声を代表するかのようなミジュの「(おでこから)少し降りれば唇なのに! 遠いの!?」の言葉に応え、ガンホが勢いよく階段を駆け上ってくる! そして、待ってましたの、顔を挟み込みながらの抱きつき階段キス!!(素敵すぎる!) さらに、丁寧に何度も互いを確かめ合うかのような、韓国ドラマのお得意“ハムハムキス”(唇をハムハムするようなキス)! ここでシーンは変わってしまうのだが、あとでサムシクが確認することになった監視カメラでは、ガンホが背負っていたリュックを脱ぎ捨てる姿が映し出されていた。最終回前にやっとのことで訪れた、熱い熱いキスシーンは、イ・ドヒョンがこれまで見せてきたキスシーンの中でも歴代級だろう。

 さらに、ガンホが法廷に立ち、父を殺した犯人であるウビョクグループ会長のソン・ウビョク(チェ・ムソン)とテスを追い詰めていく。このシーンのイ・ドヒョンがめちゃくちゃカッコいい。韓国法廷ドラマの見どころといえる、検事や判事が着る法服。イ・ドヒョンが法服姿で悪をやっつけていく姿は、痛快でスカッとさせられる。喉に詰まったサツマイモを流す、サイダーのようにスッキリする展開を意味する韓国ドラマ特有の表現“サイダー展開”となった。

 事件が解決し、これまで背負っていた重いものから解き放たれ、ヨンスンは安堵して眠りにつく。ガンホに好きな歌を歌ってもらいながら……。この場面での、イ・ドヒョンの歌声が胸を打つ。たどたどしく歌い出し、優しい低音ボイスで奏でられる子守唄。ラ・ミランが心底安心しきった表情で、満ち足りた幼児のような、慈愛を含んだ聖母のような表情で微笑みながら眠りにつく。ガンホとヨンスンを演じる俳優2人の、渾身の演技の時間。怒鳴り合い、悲鳴が迸る“動”の演技ではなく、静かな母と息子の最期の時間。“静”の演技に涙腺を刺激され涙が流れ落ちる。

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