『【推しの子】』は“オタク”になぜ刺さるのか 他人事ではいられない“熱狂”の描き方
『【推しの子】』を観ていて思い出すのは高見広春の小説『バトル・ロワイアル』や特撮ドラマ『仮面ライダー龍騎』といったデスゲームものの作品だ。生き残りをかけたゲームに強制的に参加させられたプレイヤーたちが時に協力し、時に対立しながら最後の一人になるまで戦うのがデスゲームの面白さだが、やがて、ゲームを仕組んだ設計者の存在が判明し、最終的にはプレイヤーと設計者の戦いになるというのが、多くの作品がたどる結末だ。この構図は恋愛リアリティショーにおける若手タレントとディレクターやプロデューサーの対立に重ねることができるのだが、『【推しの子】』ではデスゲーム的な物語構造を用意しながら、プレイヤーと設計者を敵対する関係として描かない。その代わり、両者を脅かす暴走する巨大な悪意として描かれているのが、SNSで悪意のあるコメントを無自覚に発信する視聴者に代表される、熱狂的なファンコミュニティである。
アイが刺された時も、無責任な誹謗中傷を垂れ流すアイドルオタクのSNSでの発言に対して「自分に彼女がいない怒りを女にぶつけてるだけだろーが! きめーんだよ死ね!」とルビーが激しい怒りをぶつける場面が描かれている。このシーンとリアリティショー編の描写を見ていると、アクアやルビーが戦う相手は暴走するオタクのファンコミュニティに宿る悪意そのものではないかと感じる。ただしこれは、一方的な説教ではない。転生前のアクアとルビーが熱狂的なアイドルオタクだったことを踏まえると、オタクの自己批判という側面が大きい。
つまり本作はアイドルを通して、オタクのライトサイドとダークサイドの衝突を描いている。だからこそ、アニメやアイドルに熱狂するオタクの心に深く刺さるのだ。
■放送・配信情報
『【推しの子】』
TOKYO MXほかにて放送中
TOKYO MX:毎週水曜23:00〜
チバテレ:毎週水曜24:45〜
群馬テレビ:毎週水曜25:00〜
サンテレビ:毎週水曜25:00〜
KBS 京都:毎週水曜25:00〜
BS11:毎週水曜25:00〜
静岡放送:毎週水曜25:25〜
テレビ愛知:毎週水曜25:30〜
tvk:毎週水曜25:30〜
テレ玉:毎週水曜25:30〜
とちぎテレビ:毎週水曜25:30〜
北陸放送:毎週水曜25:30〜
東日本放送:毎週水曜25:31〜
広島ホームテレビ:毎週水曜25:40〜
テレビ北海道:毎週水曜26:05〜
TVQ 九州放送:毎週水曜26:05〜
新潟放送:毎週水曜26:30〜
AT-X:毎週金曜21:00〜
リピート放送:毎週火曜09:00〜/毎週木曜15:00〜
※放送日時は変更になる可能性あり
ABEMA にて、毎週水曜23:00〜地上波同時・単独最速配信
その他、各種配信サイトにて順次配信
原作:赤坂アカ、横槍メンゴ(集英社『週刊ヤングジャンプ』連載)
キャスト:大塚剛央(アクア)、伊駒ゆりえ(ルビー)、潘めぐみ(有馬かな)、石見舞菜香(黒川あかね)、大久保瑠美(MEMちょ)、伊東健人(ゴロー)、高柳知葉(さりな)、内山夕実(アクア幼少期)
監督:平牧大輔
助監督:猫富ちゃお
シリーズ構成:田中仁
キャラクターデザイン:平山寛菜
アニメーション制作:動画工房
©︎赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会
公式サイト:https://ichigoproduction.com/
公式Twitter:@anime_oshinoko