『らんまん』はどうなる? 『スカーレット』『舞いあがれ!』に重なるじれったい恋模様
だが、こんなふうに縮まりそうで縮まらない恋心にやきもきするのも朝ドラの醍醐味かもしれない。近年の朝ドラでも、それぞれのペースでゆっくりと愛を育んだ主人公カップルの姿が描かれてきた。
戸田恵梨香×松下洸平、純情過ぎる抱擁 『スカーレット』が描いた“思いを伝えること”
『スカーレット』(NHK総合)第10週「好きという気持ち」では、喜美子(戸田恵梨香)が八郎(松下洸平)に思いを伝える。 2人…
『スカーレット』(NHK総合)では、喜美子(戸田恵梨香)と八郎(松下洸平)のじれったい恋が思い出される。うぶな喜美子は八郎にある種の好意を抱いてはいたものの、男女が付き合うことの意味すら理解できていなかった。生真面目な八郎が口にした「僕にとって川原さんは女や」「僕は付き合うてもない人のことを気軽に名前では呼べません」「喜美子なんて呼びとうても呼ばれへん」の言葉は、恋に慣れた人ならそこにどんな気持ちが含まれているかにピンときただろう。だが喜美子は、この好意のダダ漏れた言葉たちがまったく分からない様子。「ほな、付き合ったらええやん」とあっさり返答することで、陶芸を教わることから喜美子と呼んでもらうことまで全て叶えようとして、八郎を当惑させたものだ。そんな2人がいとおしくもほほえましかった。さらに、まじめすぎる八郎とうぶな喜美子が付き合いだすまでには、ここからまだまだ時間が必要であった。
『舞いあがれ!』ずっと想い合ってきた舞と貴司の20年 一気に溶けた“幼なじみ”の距離感
<君が行く 新たな道を 照らすよう 千億の星に 頼んでおいた> この歌の裏に“君”を想う溢れんばかりの愛情と心からの賛歌が降…
『舞いあがれ!』(NHK総合)では、恋に一歩踏み込むことに臆病になってしまった舞(福原遥)と貴司(赤楚衛二)の恋模様が忘れられない。ずっと幼なじみとして子供のころから良い関係を気付いてきた2人だからこそ、それを壊せないという思いが強かったのだろう。相手を大切に思えば思うほど踏み込むことができない、そんな気持ちは痛いほどよくわかる。貴司が本歌取りの手法を使い人知れず舞に送った愛の歌「君が行く 新たな道を 照らすよう 千億の星に 頼んでおいた」からは、どれだけ長い時間、舞を思い続けてきたのかが伺い知れたからこそ、クライマックスの公園のシーンでは2人を応援する気持ちでいっぱいになった。
『らんまん』の恋模様は視聴者にどう捉えられているのだろうか。万太郎と寿恵子の恋路についてSNSでは「あの方はみすぼらしくありません!と言える寿恵子が大好き」、「高藤さんは止めとけ」などの声が上がっている。まっすぐでキラキラした2人の恋は、一筋縄ではいかずとも誰もが応援したくなる。たとえ回り道をしても、2人がお互いの気持ちに気付くまで、我々はそっと見守り続けたい。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK