『あなたがしてくれなくても』は配信時代にマッチ? 視聴者に“気づき”を与える構成の妙
放送終了後にはTwitterのトレンド入りを果たし、大きな盛り上がりを見せる『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)。筆者のまわりでも、普段ドラマを観ない層までもが作品に言及していることから、その注目度の高さがうかがえる。セックスレスや不倫などのセンセーショナルな題材を扱うことから番組終了後のSNSには様々な感想や意見が入り乱れるが、こうしたツイートを読むところまでが視聴者の楽しみ方のルーティンになっているような気さえしてくるのだ。
リアルタイム視聴が盛り上がる一方で、配信での視聴を好む層もかなりの数いるというのもまた事実。その背景として、過激なベッドシーンに加えセックスレスというワードが頻繁に飛び出すことから、家族と鑑賞することに気まずさを感じるという声もあるようだ。配信での視聴が増えつつあるというのは配信サービスが充実してきた今の時流に沿っているだけでなく、視聴者層との需要にもマッチしているだろう。これを裏付けるように放送日の木曜夜以外の日に追いかけてドラマをチェックし、感想を投稿している様子も散見される。
『あなたがしてくれなくても』の公式サイトには「婚姻関係にあるカップルの2組に1組がセックスレス」と説明されており、これがどれだけ多くの夫婦にとって切実なトピックなのかがわかる。加えて先日、女性Webメディアが20〜40代を対象に行ったアンケートでは、これを上回る約6割に近い夫婦がセックスレスだという結果も。(※)改めて現代の夫婦の関係に非常に重要なテーマであることが示された。
『あなたがしてくれなくても』は抱えきれない苦しみや悩みを持つ人にとって、気持ちを共有させてくれる作品であり、吐き出させてくれる作品でもある。みち(奈緒)をはじめ、楓(田中みな実)や誠(岩田剛典)、陽一(永山瑛太)、時には結衣花(さとうほなみ)に感情移入し気持ちを理解しようとすることが、少しずつ心を浄化させていく手助けになっているようにも見受けられる。作品と向き合うことで、それぞれが自分なりの解釈や答えを見出しているのだろう。