『合理的にあり得ない』“あり得ない”松下洸平の愛情表現 最大の謎が解き明かされる?

 『合理的にあり得ない~探偵・上水流涼子の解明~』(カンテレ・フジテレビ系)が6月5日に第8話を迎えた。

 男の影がない女上司と奥手すぎて異性が寄りつかない部下。浮いた話のなかった本作にも春がやってきた。涼子(天海祐希)は高校時代の後輩である新藤(眞島秀和)と久々に再会。居酒屋のサシ飲みにバッティングセンター、公園デート。初々しい2人は学生時代に戻ったようだ。懐かしい話で盛り上がったところで、秘めた思いを打ち明けられた。けれども新藤の告白には裏があった。

 涼子に男ができたと聞いてあわてたのは周囲の男たちだ。この世の終わりのように絶望する丹波(丸山智己)。久実(白石聖)から話を聞いた諫間(仲村トオル)も驚きの表情を浮かべる。なかでも明らかに挙動不審になっているのが貴山(松下洸平)で、隠そうとしても動揺を隠しきれない。いつになく落ち着かない様子の貴山に、浩次(中川大輔)はおせっかいを焼いて本音を聞き出そうとする。

 涼子はいわゆるクラスのマドンナ的な存在なのだろう。そう思っていたら、回想シーンで吹奏楽部の指揮者だった涼子(茅島みずき)が新藤(小林喜日)にあり得ないダメ出しをする場面が出てきた。当時から、涼子は周囲を引っ張っていくリーダータイプだったことがわかる。ドラマではこの後、新藤がついた嘘と秘密を明らかにしていくのだが、その発端になったのが、丹波に頼まれて涼子の身辺を探る貴山だったのが面白い。

 クライアントの依頼で普段から調査対象者に行っていたことを、身内に仕掛ける。こう書くと非常にきな臭く感じられるが、丹波が勝手に疑っているだけなのに対して、貴山の場合、涼子がだまされていないか本気で心配していて、そこにはIQ140の頭脳が導く直感と、わずかながら好意も見え隠れする。相手に本心を伝えるやり方としては回りくどすぎるが、女ごころに疎い貴山が選んだ方法がこれだとしたら、あきれを通り越して尊敬の念すら覚える。ちなみにこれらはフィクションだから成立することで、現実では盗聴やストーカー行為は、親しい間柄でも許されないことを言い添えておく。

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