1989年版『リトル・マーメイド』はなぜ今も愛される? 2Dアニメーションの良さを再発見
アリエルのお目付役として人気キャラクターのセバスチャンは、実は宮廷音楽家でもある。劇中ではセバスチャンのリードでミュージカルシーンに入ることもあり、そこには様々な楽器やコーラスが盛り込まれるなど、宮廷音楽家ならではの光る演出も見受けられる。こうした遊び心もディズニー作品の魅力だろう。
昨今のディズニー長編アニメーションは『塔の上のラプンツェル』(2010年)、『アナと雪の女王』(2013年)などの3D作品が中心となっている。手書きアニメーションの長編作品は2011年の『くまのプーさん』を最後に姿を消し、未だ新作は登場していない。そのような状況の中、『金曜ロードショー』の放送により改めてディズニーの2Dアニメーションの豊かな技術を堪能できることもうれしい。アリエルの表情、水中での髪の動き、カモメのスカットルやカニのセバスチャンなど動物に命と個性を吹き込む工夫など、細部にわたるアニメーターたちのこだわりは見逃せない。未だディズニーの手書きアニメーション復活を望む声も多いからこそ、その良さを肌で感じてほしい。
多くの人が期待を寄せる実写『リトル・マーメイド』。このタイミングでアニメーション版『リトル・マーメイド』が『金曜ロードショー』で放送されることに感謝したい。週末にアニメーション版を観たら、来週末には家族や友人と共に映画館に足を運ぶのも良さそうだ。
■放送情報
『リトル・マーメイド』
日本テレビ系にて、6月2日(金)21:00~22:54放送 ※本編ノーカット
監督・脚本:ジョン・マスカー、 ロン・クレメンツ
製作:ハワード・アシュマン、 ジョン・マスカー
原作:ハンス・クリスチャン・アンデルセン
アニメーター:マーク・ヘン、 グレン・キーン、 ダンカン・マージョリバンクス、ルベン・アキノ、 アンドリアス・デジャ、 マシュー・オキャラハン
視覚特殊効果:マーク・ディンダル
音楽:アラン・メンケン
作詞・作曲:ハワード・アシュマン、 アラン・メンケン
美術監督:マイク・A・ペラザJr.、 ドナルド・A・タウンズ
声の出演:ジョディ・ベンソン、サミュエル・E・ライト、パット・キャロル、ジョディ・ベンソン、クリストファー・ダニエル・バーンズ、ジェイソン・マリン、ケネス・マース、パディ・エドワーズ
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