大東駿介、俳優として作品の支柱的な存在に リアクションが『らんまん』にもたらすもの
先述したガイドで大東は、「僕は、悩みってすてきだと思うんです。人の奥行きは、悲しみを乗り越えた数で広がる。子どもを万太郎に助けてもらうシーンでは、倉木の悔しさや惨めさ、いらだちが重くのしかかってきてつらかったです。挫折を経験したその先、倉木がどう歩むのか」とも語っている。倉木はアクションを起こす側のようにも映るが、実はリアクションをする側だ。それはすでに記している通り、出会ったばかりの万太郎に家族を助けられるシーンに顕著だっただろう。不測の事態に対する万太郎の行動が生み出す緊張感もあったが、それを前にした倉木の“自分はどうすることもできないやりきれなさ”の感情の方が確実に画面を支配していた。万太郎の行動はアクションであり、倉木の反応はリアクションである。的確なリアクションは、やたらとセリフを必要としたり、変に声を荒げたりせずとも視聴者には伝わるものなのだ。
モデル業と並行して俳優業を開始した大東。ドラマ『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)や映画『クローズZERO』シリーズなど、かつては“人気若手俳優の一人”という認識だったが、演劇領域にまで活躍の場を広げ、いまではあらゆる作品の支柱的な存在となっている。40代へと向かって、これからがもっと面白くなってくるところなのだろう。
さて、そんな大東駿介が演じる倉木は、東京での生活に少しだけつまづいた万太郎を助けるような存在になっていく。万太郎のことを「植物に息吹を与える太陽のよう」という大東は、“東京の先輩”役としてその光を受け、どのような変化(=リアクション)を示していくのだろうか。
※記事初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK