『良くも、悪くも、だって母親』怒涛の後半戦へ イ・ドヒョン×ラ・ミランの演技合戦

 そして、ヨンスンは、「ガンホがひとりで立てるように」と、車椅子に乗るガンホを水の中に放り投げるという暴挙に出る。立つと膝下ぐらいの池だが、立てないガンホには致命的だ。溺れそうになる我が子を前に、ヨンスンは鬼の形相でガンホに立てと追い詰める。この鬼気迫るヨンスンの行動は、今の時代には虐待と言えるだろう。もっと他の方法があるはずだ。しかし、自分に残された時間が残り少ないと焦るヨンスンは、これまで同様、荒いやり方でしか、子どもに接することができない。原題の“悪い母”、邦題の“良くも、悪くも、だって母親”というタイトル通り、「良い母」とかけ離れた行動を取るヨンスン。決して褒められたことではないし、痛々しくて目をそむけたくなる人も多いかもしれない。SNSでは「(母親に)悪いスイッチ入ると極端なのよー!」や「私は母親の気持ちわかるな」の声もあり、母ヨンスンの選択する行動に感情を揺さぶられている人が多いようだ。

 一方、ガンホの過去と、現在の記憶が繋がりそうな気配も見せた。TVに映るオ・テス(チョン・ウンイン)の姿を見たガンホは、テスが自分を罵る姿がフラッシュバックする。ガンホを演じるイ・ドヒョンが見せる目の色が、過去と現在で変わるのも秀抜なところだ。さらに、ガンホが事故に遭う前にヨンスンへ手紙を残していたこともわかった。ヨンスンは、普段と違う口調で書かれた手紙が気になって仕方がない。ガンホに手紙のことを尋ねるも、ガンホは思い出せない。母子でキュウリパックをしながら、ヨンスンが手紙の謎を解こうとするシーン。ユーモラスな映像ながら、差し込まれる過去のガンホと、現在のガンホの言葉が、観ていて緊迫感のあるシーンとなっている。

 物語が急速に進展しそうなところで第8話が終わり、次回が非常に待ち遠しい展開となった。韓国ドラマでよく描かれる、母と子どもの結びつきの強さ。記憶を失う前にガンホがヨンスンに見せていた姿と、実際のガンホの心にはどうやら大きな誤差がありそうだ。ミジュとの過去を見る限り、ガンホは父の死の真相へとたどり着いているのではないか。そう思わせる描写が続く中、ヨンスンの余命や、ガンホが過去に追っていたことへの決着、さらにミジュの子どもの父親など、絡みあっていた糸がほどけ、秘密が暴かれるターンへと入ってきた。ここからクライマックスへ向けて、ガンホが追っていたものをヨンスンが知ったとき、母子はどうするのか。続きが気になり、1週間が待ち遠しい。

■配信情報
『良くも、悪くも、だって母親』
Netflixにて配信中
出演:ラ・ミラン、イ・ドヒョン、アン・ウンジン
原作・制作:シム・ナヨン、ペ・セヨン
(写真はJTBC公式サイトより)

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