葵わかなは多才なバイプレイヤーだ “清純派ヒロイン”からオタク役まで広がる役幅

 坂口健太郎主演のドラマ『Dr.チョコレート』(日本テレビ系)で、アニメオタクの臨床工学技士・ギルベルト役を演じている葵わかな。清純派キャラを数多く演じてきた葵のイメージを覆す“オタク演技”を見せている。

 葵は、気品ある佇まいと、明るい笑顔、そしてちょっと古風な雰囲気のある、“清純派の王道”とも言える俳優だ。2015年のドラマ『表参道高校合唱部!』(TBS系)では、1000人のオーディションから主演の芳根京子、森川葵、志尊淳、赤楚衛二らと共に生徒役に選抜され、次世代を担う若手俳優の1人として注目を集めた。

 そして2017年、オーディションで選出され、連続テレビ小説『わろてんか』(NHK総合)のヒロインに抜擢。吉本興業の創業者・吉本せいをモチーフにした一代記で、ヒロイン・てん役を当時19歳にして50代まで演じきり、朝ドラヒロインらしい清純な雰囲気と、その確かな演技力が幅広い層の支持を受けブレイク。以降は、朝ドラファンの期待に沿うように“清純派ヒロイン”として数々の作品に出演してきた。また、2019年に初のミュージカル『ロミオ&ジュリエット』で主演を務めてからは、ミュージカル俳優としても活躍している。

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 2020年代に入ってもそのキャラは変わらない。2022年に出演した『結婚するって、本当ですか』(Prime Video)は、旅行代理店に勤務する地味で奥手な主人公の男女2人が、独身者対象で選ばれるアラスカ勤務を防ぐために計画結婚を決意し、次第に心惹かれあっていくというラブコメディ。一見クールに見えるが極度の人見知りで、妄想旅行好きのオタク気質のヒロインを演じており、恋愛下手の2人が一生懸命に距離を縮めていく姿が自然で、じれったく、でもかわいらしく、王道展開のラブストーリーがハマる俳優だと改めて気付かされた。

 そして2023年に入り出演作が立て続けに放送され、時代劇初挑戦となった『ホリデイ~江戸の休日~』(テレビ東京系)では、江戸版『ローマの休日』という江戸時代の恋愛劇で、葵はヒロインの町娘を演じた。純情な演技とレトロな雰囲気を持つ葵は、まさに町娘のイメージにピッタリ。今後も時代劇に欠かせない存在になっていくだろう。ドラマ『キッチン革命』(テレビ朝日系)でも、内科医の経験から計量カップ、計量スプーンを生み出し、料理カードを作った医師の香美綾子役の半生を演じていた。戦前から戦後という激動の時代にパワフルで純粋に生きる女性というのは、『わろてんか』とも重なる。今作でも熱演を見せ、昭和の実録ものとの相性の良さは若手俳優界でトップクラスと実感する。

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