香港の片隅で生きる人々描く ルイス・チョン×アンジェラ・ユン『星くずの片隅で』7月公開

 2023年香港アカデミー賞で10部門にノミネートされた映画『The Narrow Road(英題)』が、『星くずの片隅で』の邦題で7月14日に全国公開されることが決定した。

 2022年台湾アカデミー賞3部門、2023年香港電影評論学会大奨6部門、そして2023年香港アカデミー賞10部門ノミネートの快挙を遂げ、香港を皮切りにイギリス、台湾でも劇場公開された本作は、2022年に日本でも劇場公開された映画『少年たちの時代革命』で共同監督を務めたラム・サムの単独監督デビュー作。コロナ禍の静まり返った香港の片隅で、誰にも気付かれずに生きる人々の孤独な心を描く。

 本作は2018年から脚本構想が練られ、当初から主人公の仕事は清掃業に設定されていた。新型コロナウイルス感染症の流行によって変化する社会情勢の中で、「どんなことが起きても、希望を持つこと。こういう時代だからこそ、家族や恋人、友人という関係性だけではない、人と人がお互いを見つめ、助け合う姿を描かなくてはいけないと思いました」とラム・サム監督は語る。

 2020年、コロナ禍で静まり返った香港。「ピーターパンクリーニング」の経営者ザク(ルイス・チョン)は、車の修理代や品薄の洗剤に頭を悩ませながら、消毒作業に追われる日々を送っている。リウマチを患う母(パトラ・アウ)は、憎まれ口をたたきながらも、たまに看病にくるルイスのことを心配している。

 ある日、ザクの元にド派手な服装の若いシングルマザーのキャンディ(アンジェラ・ユン)が職を求めてやってくる。まともな仕事をしたことがなさそうなキャンディだったが、娘ジュー(トン・オンナー)のために慣れない清掃の仕事を頑張りはじめる。しかしキャンディがジューのために子供用のマスクを客の家から盗んでしまい、ザクは大事な顧客を失ってしまう。

 幼い娘を抱え、まともな暮らしもできずにいるキャンディをみて、ザクはもう一度だけチャンスを与える。心を入れ替え仕事に打ち込んでいくキャンディに、心惹かれていくザク。そんな中、ルイスの母が急死してしまう。葬儀に向かうザクを送り出し、一人での仕事に張り切るキャンディ。しかしジューがうっかりこぼしてしまった洗剤をきっかけに、追い詰められたキャンディはちょっとした嘘を重ねていってしまう。それがザクと会社を窮地に追いやることになる。

 あわせて公開されたメインビジュアルには、ザクとキャンディ、ジューの姿が切り取られている。

 主演を務めたのは、『イップ・マン継承』『SHOCK WAVE ショック ウェイブ 爆弾処理班』のルイス・チョン。不器用でやさしい中年男ザク役を演じ、香港電影評論学会大奨最優秀男優賞を獲得した。ずる賢くも憎めないシングルマザーのキャンディ役を演じたのは、映画『宵闇真珠』でオダギリジョーと共演し、Vaundyの「Tokimeki」のMVにも起用されたモデルのアンジェラ・ユン。憎まれ口を叩きながらも息子ルイスをあたたかく見守る母役に、映画『ソク・ソク』で香港アカデミー賞助演女優賞を受賞したパトラ・アウ、キャンディの娘ジュー役に映画初出演のトン・オンナーが名を連ねた。

 音楽を手がけたウォン・ヒンヤンは、本作で香港アカデミー賞最優秀音楽賞、台湾アカデミー賞最優秀オリジナル音楽賞を受賞。脚本を務めたフィアン・チョンは、香港電影評論学会大奨、香港アカデミー賞にノミネートされた。

映画『星くずの片隅で』アンジェラ・ユン&ラム・サム監督 コメント動画

 さらに、アンジェラ・ユンとラム・サム監督によるコメント動画も公開された。

■公開情報
『星くずの片隅で』
7月14日(金)より、TOHOシネマズ シャンテ、ポレポレ東中野ほか全国ロードショー
出演:ルイス・チョン、アンジェラ・ユン、パトラ・アウ、トン・オンナー
監督:ラム・サム
プロデューサー:マニー・マン
脚本:フィアン・チョン
撮影:メテオ・チョン
美術:ウミ・ンガイ
編集:エミリー・リョン
音楽:ウォン・ヒンヤン
配給:cinema drifters・大福・ポレポレ東中野
2022/香港/カラー/DCP/5.1ch/115分/英題:The Narrow Road/日本語字幕:最上麻衣子
©mm2 Studios Hong Kong
公式サイト:https://hoshi-kata.com

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