『合理的にあり得ない』コメディエンヌ白石聖に期待! 会話劇で光る根本ノンジ脚本の魅力

 ミステリーで予知能力を持つキャラが登場するとワクワクする。絶対にあり得ないとわかっていても、逆にどんな手を使って未来を予想するのかと期待してしまうのだ。私たちの中にある未来を知りたい欲求は、それだけ根強いのかもしれない。

 『合理的にあり得ない~探偵・上水流涼子の解明~』(カンテレ・フジテレビ系)第3話で上水流エージェンシーを訪れたのは藤請建設会長の本藤朝子(神野三鈴)。朝子の依頼は「息子の目を覚ましてもらいたい」。社長である息子の本藤仁志(笠原秀幸)が最近入れ込んでいる高円寺裕也(高橋克実)の正体を暴いてほしいと話した。

 見るからにうさん臭いオーラを発しているのに、具体的にどこが怪しいかと聞かれると返答に困る。そんな手合いのトリックを暴くのは案外難しい。詐欺師は外見から詐欺師に見えないと言われるが、通常はまっとうな人間を装うのに、わざわざ未来が見えると豪語するのはハッタリか、それともよほど自信があるのか。高円寺は余裕たっぷりに自分の能力をプレゼンし、涼子(天海祐希)と貴山(松下洸平)をもってしても見破ることができない。地団太を踏む涼子にヒントをくれたのは、新たに上水流エージェンシーに加わった久実(白石聖)だった。

 絶対バレるに決まってるのに、大胆にも相手の懐に飛び込んで、なぜかバレないあり得なさはドラマならでは。詐欺師はだますのには慣れていても、だまされるのは慣れていないのかもしれない。高円寺はまんまと涼子たちの罠にはまってしまい、というより事前に相手のトリックを見破った上で、気づかれても否定できない状況を作り出した涼子たちが一枚上手だった。

 実は原作とドラマは犯人が少し違っていて、ストーリー進行も異なる。脚本の根本ノンジは原作の世界観を生かしながら、連続ドラマとして構成する手腕に定評がある。これまでに『監察医 朝顔』(フジテレビ系)や『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ系)、『正直不動産』(NHK総合)などのヒット作を手がけてきた。

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