『search/#サーチ2』は前作からどう進化した? サスペンス部分に宿る恐ろしい独自性

『search/#サーチ2』を前作と比較

 突然姿を消してしまった娘を、電子機器やアプリを駆使して捜索する父親の姿を、PCなど電子端末の画面のみで見せていく……という設定で構成される、現代的な異色の“ラップトップ・スリラー”映画『search/サーチ』(2018年)。実験的かつエンターテインメント性にも溢れた趣向や、伏線が張り巡らされた脚本が好評を博したことで、この作品はシリーズ化を遂げ、続編『search/#サーチ2』が、このほど公開を果たした。

 そんな大成功した前作に比べ、本作『search/#サーチ2』の内容は、どうだったのだろうか。シリーズの製作を務めるティムール・ベクマンベトフらのもと、前作の監督と脚本家による新たな物語を、前作では編集を手がけていた、新たな監督らとともにさせた本作を、ある程度重要なネタバレを避けながら評価していきたい。

 本作の主人公は、ロサンゼルスにシングルマザーの母親と住んでいる、18歳の高校生ジューン(ストーム・リード)だ。母親グレイス(ニア・ロング)が、恋人ケヴィン(ケン・レオン)とともにコロンビアに海外旅行に出かけたので、ジューンは親のいない家でハメを外して、友達とパーティーを楽しむ。だが、帰国の日になっても二人は帰ってこず、グレイスともケヴィンとも連絡が全くつかないという事態に陥る。

 前作に類似した状況ではあるが、やっかいなのは、これが外国で起こったと思われる事件だということだ。警察や、アメリカ大使館に捜査を依頼するものの、コロンビアで国内で大々的に捜査するような権限はないため、捜索は遅々として進まない。ここから前作の主人公同様、ジューンのインターネットを活用した、独自の母親捜索が開始される。

 彼女が冴えていたのは、ウェブページからコロンビアの代行サービスを見つけ、現地で動いてくれる人物ハビ(ヨアキム・デ・アルメイダ)を雇ったところだ。ジューンはハビに指示を出し、遠隔で捜査を代行させていく。もちろん、そのやりとりは全てPCなどの画面上で進行していく。

 同時に、ジューンはさらなる手がかりをつかむため、二人のSNSやメールのアカウントに侵入を試みる。運よくケヴィンの方のパスワードが入手できると、彼の疑わしい点が多々浮かび上がってきた。ジューンは母を取り戻すため、捜査に没頭していくのだった。

 本作の醍醐味は、込み入った事態の推移や、意外な展開の連続そのものにある。それをいちいち書いていくと面白さが減退してしまうため、この序盤のストーリー以降の内容を書くことは難しい。だが、作中の至るところに張り巡らされた伏線や謎が、終盤で一気に一つの像を結ぶという、ミステリー作品としての魅力がつまっていることで、本作をスリルあるミステリーイベントとして楽しむことができるということは確かだ。本作は、そういう体験を求める観客にこそ求められている。

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