『TOKYO MER』鈴木亮平たちMERチームの使命を再確認 劇場版へ期待抱かせる展開に
災害は予告なくふりかかる。決して待ってくれないその時のために、命をかける人たちがいる。4月16日に放送された『TOKYO MER〜隅田川ミッション~』(TBS系)では、命を守る仕事の尊さを再確認することができた。
スペシャルドラマの舞台になったのは隅田川。23区内を流れ、東京湾にそそぐ隅田川沿いは近年再開発が進んでおり、観光スポットして国内外から多くの人が訪れる。屋形船と大型水上バスが衝突し、コントロールを失った屋形船は多くの負傷者を乗せて漂流。出動命令を受けて喜多見(鈴木亮平)らTOKYO MERチームが現場に急行する。
冒頭からのほっこりさせるやり取りになごんだところで、緊迫感あふれる出動シーンに胸が高鳴った。2021年7月期に放送された『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(TBS系)の主役は都知事直轄の救命救急チームで「待っているだけじゃ救えない命がある」がモットー。喜多見を中心に抜群のチームワークで多くの命を救った彼らの雄姿は、SPドラマでも健在だった。
そんなTOKYO MERに変化の時が訪れる。厚生労働省の医系技官でセカンドドクターを担っていた音羽(賀来賢人)がチームを離れることになり、後任を探すことに。同じ頃、比奈(中条あやみ)の初期研修期間が終わり、指導医の千晶(仲里依紗)がいる東京海浜病院循環器外科への所属が決まる。セカンドドクターとして白羽の矢が立ったのは、臨床から離れて久しい医師の青戸(伊藤淳史)だった。
東京のウォーターフロントで繰り広げられる手に汗握るスペクタクルと新米医師の成長物語。2つの流れが合流し、そこで生きる人々の人間模様が浮かび上がる。連続ドラマ第2話の医師として試される場面で、患者のために葛藤を乗り越えた比奈。今度は自ら去就を決めるタイミングでMERに残るべきか迷う。その折に担当した胡桃(志水心音)が船の衝突事故に巻き込まれたことを知り、現場へ向かうことになった。
「人の命を救いたいから」。比奈がMERを志望した動機だ。同じ言葉を青戸も口にする。技術や経験も大事だが、諦めずに目の前の命を救う姿勢は、それらと同じくらい災害現場で大きな力になる。メスを握る比奈の震える手を喜多見がそっとつかむシーンは第2話の再来で、切羽詰まった状況で負傷者に電気メスを振るう青戸の手を押しとどめたのも比奈だった。場面の対比を通じて、静と動、緊張と弛緩を自在に切り替えながら、効果的な反復で救急医としての成長を描いた。