『らんまん』ディーン・フジオカ演じる龍馬が万太郎を励ます真意 ヒサには不穏な空気が

 『らんまん』(NHK総合)第3話で、万太郎(森優理斗)は「わし、生まれてこん方がよかったがじゃと」と、自らを「天狗」と名乗る謎の武者・坂本龍馬(ディーン・フジオカ)に打ち明けた。万太郎の言葉に険しい顔で耳を傾けていた龍馬は「そんなこと言うガキは頭から食ろうちゃる!」と万太郎を高々と持ち上げる。抗う万太郎だが、龍馬の真意は万太郎を元気づけることだった。龍馬に抱き抱えられ、普段とは異なる景色を見る万太郎に、龍馬はこう伝えた。

「この世に同じ命らあ一つもない」
「みんな、自分の務めを持って生まれてくるがじゃき」

 ディーン演じる龍馬のまっすぐな眼差しが強く印象に残る。龍馬は幼い頃、万太郎と似た境遇を過ごしてきた。もしかすると龍馬自身も、幼い頃に「生まれてこない方がよかった」という言葉に深く傷ついた経験があるのかもしれない。「おまんも大きゅうなったら何でもできる。望む者になれるがやき」と万太郎に伝える視線の先には、万太郎だけでなく、幼い頃の自分自身が映っていたようにも見える。万太郎に語りかける龍馬の声色は最後まで心強く、やさしいものだった。「もし、わしに息子がおったらこんなふうに遊んだがかのう?」と慈しむような目で万太郎を見ていたのも心に残る。

 万太郎が龍馬と別れた後、ヒサ(広末涼子)と綾(太田結乃)、竹雄(井上涼太)が万太郎を見つけ出した。万太郎を見つけ出したヒサの様子からは、病身に鞭を打ちながら必死になって万太郎を探していたことが伝わってくる。心の底から安堵したヒサは万太郎をやさしく抱きしめる。天狗がいたと話す万太郎に、ヒサは「本当におったかもね」と微笑んだ。ヒサの視線の先には小さな花が咲いていた。小さな花を見つめるヒサの穏やかな表情から、ヒサもまた草花を愛する人なのだと分かる。ヒサが一番好きだという花は細くて小さい。けれど、この花は冬の間、冷たい地面の下で根を張り、春になると白くてかわいらしい花を咲かせる。

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